
小学生の頃から毎日続けている
ランニングが今も昔も力の原点
スキージャンプ選手
西 紀明さん

僕が生まれたのは、北海道下川町です。小さな町ですがジャンプ台があり、9歳のときに友だちに誘われて初挑戦。経験したことのないフワッと風に乗る感覚と、友だちと記録を競い合うことが楽しくて夢中になりました。
足が速かった僕に、両親はマラソン選手になってもらいたかったようです。でも、ジャンプが楽しくなった僕は「陸上よりジャンプをやりたい」と伝えました。応援はしてくれたものの、父からは毎日「走ってこい!」と厳しく言われたものです。面倒だなと感じる日もあったけれど、走ることで筋力と持久力がつき、ジャンプが強くなると気づいてからは、自主的に走っていました。
中学生になると、僕は国内外の試合に出場するように。あの頃は何も考えずに飛んでいた。飛べていたのです。しかし大人になるにつれ、いろいろ考えるようになって多くの壁にぶつかり、挫折も味わいました。特に五輪の舞台では魔物に取りつかれたように実力を出せなかったり、運に恵まれなかったり。子どもの頃のように何も考えずに飛べたらメダルに手が届くはず――。そう信じて臨んだ2014年のソチ五輪、その瞬間が訪れました。無心で飛べた。その結果、銀メダルを手にできたのです。
メダルを取れたのも、47歳の今も現役でジャンプができるのも、毎日ランニングを続けてきたことが大きいと確信しています。体力はもちろん、日々の努力の積み重ねは自信になる。夢のために何をすべきか考えながら走ると、頭の中が整理できます。
やめたいと思ったことは一度もありません。レジェンド(伝説)をまだまだ作りたい。だから今日も明日も、僕はコツコツと走り続けます。
西 紀明
スキージャンプ選手
かさい・のりあき/1972年、北海道生まれ。小3からスキーを始め、高校在学中からワールドカップ(W杯)に参戦。冬季五輪には92年のアルベールビル大会から8大会連続出場。94年リレハンメル大会では団体銀メダル、2014年ソチ大会では個人ラージヒルで銀、団体で銅と2つのメダルを獲得。冬季五輪ジャンプの最年長メダリストであり、W杯の最年長優勝、個人最多出場など、5つのギネス世界記録を持つ、ノルディックスキー・ジャンプの「レジェンド」。https://www.tsuchiya.co.jp/ski/kasai/


西 紀明さん






