PR ROLEX
栄冠を手に
アスリートたちの物語

ROLEX & Equestrianism相棒とつかんだ、
究極の景色
馬術騎手スコット・ブラッシュの現在地

ハロー・ジェファーソン号に騎乗するロレックス テスティモニーのスコット・ブラッシュ。CSIOスプルースメドウズ ‘マスターズ’ トーナメントで開催された、ロレックス主催のCPKC ‘インターナショナル’ グランプリを制した© Rolex / Ashley Neuhof
ハロー・ジェファーソン号に騎乗するロレックス テスティモニーのスコット・ブラッシュ。CSIOスプルースメドウズ ‘マスターズ’ トーナメントで開催された、ロレックス主催のCPKC ‘インターナショナル’ グランプリを制した
© Rolex / Ashley Neuhof

「馬と私たちはチームなのです」――。英国スコットランド出身の馬術騎手、スコット・ブラッシュはそう語る。幼少期、テレビで見た馬術に心を奪われた少年は、世界で唯一の「ロレックス障害馬術グランドスラム」を達成する存在へと成長した。その根底にあるのは、馬との揺るぎない信頼関係と、コンディションの良しあしにかかわらず、感情を安定させて向き合う強靭な精神力である。トップライダーの歩みと現在地を、書面インタビューで聞いた。(敬称略)


「憧れ」から始まった
騎手人生

——馬術競技を始めるきっかけは?

馬術競技の本場がイングランドである一方、スコットランドの小さな町ピーブルスで育った私は、競技会場に頻繁に通える環境にありませんでした。そんな私と馬術を結びつけたのが、テレビでした。学校から帰ると急いで宿題を済ませ、画面に映る障害馬術の競技を見たものです。その時間が、何より楽しみでした。そして、7歳のとき、父が私と姉にポニーを買ってくれたことをきっかけに乗馬を始め、馬術の世界にのめり込んでいきました。

ポニーに乗る幼き日のスコット・ブラッシュ=同氏提供
ポニーに乗る幼き日のスコット・ブラッシュ=同氏提供

——10歳のときに障害馬術を始め、16歳でプロ騎手をめざした

プロをめざし始めたころは、国際舞台での最初の相棒「インタートイZ」号と一緒に英国各地で開かれる大会に出場していました。イングランドでは、世界屈指のトップライダーたちの姿を、ウォームアップリング(待機馬場)で食い入るように観察していましたね。馬への接し方、調整の仕方、立ち居振る舞い。その一つひとつが、私にとって学びでした。

——トップ選手を観察することで実力を伸ばした

同じ英国出身のポール・バーカー騎手は、最速ライダーとして知られたスターでした。彼の競技スタイルから、数えきれないほど多くを学びました。ドイツのマルクス・エーニング騎手の演技は本当に自然で美しいですね。いつ馬に指示を出しているのかが観客には見えません。

トップライダーと言われるようになってからも多くの騎手から影響を受けてきました。ドイツ出身のダニエル・ドイサー騎手は同じロレックス テスティモニーですが、障害馬術で何度も世界ランキング1位に輝いているだけあって、その演技には魅了されます。また、スイス出身のテスティモニー、スティーブ・ゲルダ騎手は、馬のトレーニングや管理が本当にきめ細かで尊敬しています。

2010年にアメリカ・ケンタッキー州で開催された「世界馬術選手権」に英国代表チーム4人のひとりとして初出場し、頭角を現した。相棒はスコット自身が育成した「インタートイZ」号。英国チームは9位に終わったが、大舞台でも動じない若きスコットの姿は監督らの注目を集めた。これらの実績が評価され、2年後のロンドン五輪代表に選ばれた。

——キャリアを重ね、馬術界最高峰の大会に出場するようになった

いくつかの最高峰の大会は、目をみはるものがありました。障害物は最大160センチもありますし、コースが非常に広く、手ごわい印象をもちました。たとえ第1ラウンドで障害物を全て落とさずに完走できたとしても、決勝ラウンドでは厳しい制限時間が設けられ、別次元のスピードを要求されるからです。

それでも、最高峰の大会に出場する資格を得たときの興奮と、トップライダーと馬のコンビネーションを間近で見て、学べることにワクワクしていた感覚を今もよく覚えています。大会を終えて家に戻るたびに、自分と自分の馬をさらに高めたいという思いが強くなっていきました。


人生を変えた名馬との
出会い

2025年のCSIOスプルースメドウズ ‘マスターズ’トーナメントでハロー・ジェファーソン号に騎乗するスコット・ブラッシュ © Rolex/Thomas Lovelock
2025年のCSIOスプルースメドウズ ‘マスターズ’トーナメントでハロー・ジェファーソン号に騎乗するスコット・ブラッシュ © Rolex/Thomas Lovelock

スコットは、父親が所有する「インタートイZ」号とともに世界の扉を開いた。2011年末からは「ハロー・サンクトス」号を相棒とし、2012年のロンドンで五輪団体金メダルに輝くと、2013年には障害馬術で世界ランキング1位に。2015年には史上初のロレックス障害馬術グランドスラムを制覇した。その4年後、CHIジュネーブ(スイス)でサンクトス号の引退セレモニーが開かれた際、スコットは、「彼は私の夢をすべてかなえてくれた」と声を詰まらせながら語った。

2019年、CHIジュネーブ(スイス)で開かれたハロー・サンクトス号の引退セレモニー © Rolex/Ashley Neuhof
2019年、CHIジュネーブ(スイス)で開かれたハロー・サンクトス号の引退セレモニー © Rolex/Ashley Neuhof

——ハロー・サンクトス号は、トップライダーへと押し上げてくれた

サンクトスは私の人生を変えてくれた親友のような存在です。彼とは、言葉を超えて通じ合えるものがありました。私が何を考えているか、彼はコースに入る前から理解していて、馬の皮をかぶった人間なんじゃないかと思うこともありました。一生に一度、出会えるかどうかといえるような馬だったと思います。

17歳で競技から離れましたが、24歳になった今もとても元気です。私の厩舎の「王様的存在」で、草原でのんびり過ごしています。遠征がない日は毎日のように会いに行き、彼が大好きなミント菓子の「ポロ」やリンゴをおやつにあげています。

——馬とのコミュニケーションで大事にしていることは?

馬と素晴らしい関係を築いていなければ、トップレベルの大会で勝ち続けることはできません。そのためには、日々馬と向き合い、ともに過ごす中で馬の性格や癖、コンディションのわずかな変化を感じ取らなければなりません。そして、どのタイミングでパフォーマンスをピークにもっていくべきかを見極める必要があります。

馬は一頭一頭、違い、同じアプローチは通用しません。それぞれの馬がどう考え、何がその馬にとって最善なのかを理解することで、その馬がもっている能力を最大限に引き出すことができるのです。馬が言っていることに深く耳を傾ければ、今どうすればよいか、彼らが私たちに答えを教えてくれるのです。

——馬を管理するチームについて

グルーム(厩務員)たちとのチームワークはとても大切です。馬の小さな変化を見逃さず、みんなで情報を共有することで、馬との良い関係を維持できるようにしています。私の厩舎はスコットランドやイングランドにありますが、競技馬でも毎日放牧し、泥遊びをさせたり、ゆっくり草を食べたりする時間を大切にしています。「馬が馬らしくいられる時間」をもつことが、競技での集中力につながるのです。


歓喜と寂しさと。生涯忘れることなき瞬間

2015年、ロレックス障害馬術グランドスラムを世界で初めて達成した © Rolex / Kit Houghton
2015年、ロレックス障害馬術グランドスラムを世界で初めて達成した © Rolex / Kit Houghton

——2014~15年に世界屈指の大会「CHIジュネーブ(スイス)」「CHIOアーヘン(ドイツ)」「CSIOスプルースメドウズ ‘マスターズ’ トーナメント(カナダ)」を連続で制し、世界初のロレックス障害馬術グランドスラム達成者になった

グランドスラムを制した瞬間の気持ちは、言葉ではとても言い尽くせません。最終トーナメントでゴールしたとき、制限時間まで残りわずか0.03秒でした。電光掲示板に目を向け、時間内に収まっていることを確認した瞬間、全身から力が抜けるような安堵感に包まれました。もし1秒でも遅れていれば、タイムペナルティーによってグランドスラムは達成できていなかったはずです。

スプルースメドウズに向けた数カ月間、私は毎朝目を覚ますたびに「グランドスラムで優勝する」という目標を胸に刻みながら過ごしていました。そして、その目標をついに達成した瞬間、喜びや安堵、幸福感に加え、どこか言い知れぬ寂しさのような感情も込み上げてきました。チーム全員が同じ目標に向かい集中し続けてきた日々が、突然ひとつの区切りを迎えたように感じたからです。信じられないほど特別で、そして生涯忘れることのない、かけがえのない瞬間でした。

グランドスラム達成がかかったスプルースメドウズ。ハロー・サンクトス号とともに障害物をノーミスでクリアすると、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。スコット・ブラッシュはヘルメットを外し、右手を突き上げて観客に応えると、相棒の頭を何度もなでた。

——前人未到の偉業だった

グランドスラムは、騎手一人の努力だけで成し遂げられるものではありません。グルーム、調教師、装蹄師(そうていし)、馬のオーナー、そして家族を含めたすべての人が、長い時間をかけて準備を重ねてきました。

*装蹄師:馬の蹄(ひづめ)を整え、蹄鉄(ていてつ)を装着する専門職。馬の脚元から健康を管理し、競技パフォーマンスを支える。

各大会の日程に合わせて、私とハロー・サンクトス号のコンディションを最良の状態に整えるのはもちろんのこと、コースのどこでリズムを整え、どの場面で馬を思い切って前へ行かせるのか――。そうした瞬間的な判断についても、事前に何度もシミュレーションを重ねてきました。そしてなんといっても最後に、達成へと押し上げてくれたのは、私の素晴らしい馬、サンクトス号です。彼も含めて、私たちはひとつのチームなのです。

——2015年、グランドスラムを制する直前に、ロレックスのテスティモニーになった

いつかロレックスの時計を手にすることが夢でした。憧れのブランドのテスティモニーに選ばれたことは喜ばしく、本当に光栄に思っています。


新たな歴史的瞬間を
刻むために

スコット・ブラッシュ © Rolex/Ashley Neuhof
スコット・ブラッシュ © Rolex/Ashley Neuhof

2018年からはハロー・ジェファーソン号とコンビを組み、2024年パリ五輪で団体金メダルを獲得した。ただ、スコット自身、五輪の個人戦では金メダルを手にしていない。

——今年41歳になるが目標は?

ロレックス障害馬術グランドスラムを構成する四つのメジャー大会で優勝すること、そして五輪での金メダル獲得は、常に私の目標です。次の大会で優勝へのチャンスをつかむために、馬を最高の状態に仕上げるよう努めています。

——若い世代へのメッセージを

目標をもち、あきらめずに努力し続けてください。うまくいっているときに舞い上がりすぎず、うまくいかないときに落ち込みすぎない。できるだけ気持ちをフラットに保つことも大切です。

私と相棒は、レースで何度も障害物を落とし、負けた経験があります。でも、負けたときこそ「なぜ負けたのか?」と自分に問いかけるチャンスなのです。失敗を馬のせいにせず、自分の何を変えれば馬がもっと楽に飛べたかを考える。 その積み重ねが、いつか揺るぎない自信に変わるのです。

スコット・ブラッシュ(Scott BRASH)

スコット・ブラッシュ
(Scott BRASH)

1985年11月生まれ、英国スコットランド出身。7歳からポニークラブで基礎を築き、頭角を現した。名馬ハロー・サンクトス号とともに、2012年ロンドン五輪の英国代表として団体金メダルを獲得。13年にはエリザベス女王から大英帝国勲章(MBE)を授与された。14年から15年にかけて、障害馬術最高峰の3大会を連続制覇し、史上初のロレックス障害馬術グランドスラム達成騎手となった。この記録は現在も更新されていない(26年4月現在)。英国馬術協会のエクエストリアン殿堂入りも果たしている。近年はハロー・ジェファーソン号とのコンビで22年世界馬術選手権で団体銅メダルに、24年パリ五輪で団体金メダルに輝いている。


LATEST STORIES
ROLEX