中納良恵の音off

【第1回】 マリーナ・ショウとアニタ・オデイ

EGO-WRAPPIN’ヴォーカリスト中納 良恵

この度連載を務めさせてもらうことになりました
EGO-WRAPPIN’の中納良恵と申します

この場を借りて日々感じたことや 自分の思入れのある音楽を
綴っていけたらなと思っています

よろしくどうぞ お手柔らかにです


私の職業は歌手ですが 曲も歌詞も制作するので日々想像し しすぎて妄想し
それが暴走し
結果寄り道だらけの脳内旅行をして
とりとめのない時間を過ごしてしまうことも多々
いつもこの世の常は私を創作へと導くヒントになっているけれど
歳を重ねるごとに自分と似た考え方を持っている人はごくごくわずかだと知り
世界とこの世の広さに ついつい遠い目をして
一人ポツネン淋しい夜を過ごしたりもしています

しかし 今まで音楽を通して普段出会うことのないような職種や国籍の人たちと
同じ空間と感動を深く共有している瞬間や
自分の思うようなライブや曲が出来ていく過程は
不思議と自分自身が世界そのものになったような気がして
その瞬間すべてを許せたり愛せたり出来ているものだから
音楽の力は本当に凄まじいなといつも感服している日々であります

歌手になることはずっと変わらず幼い頃からの夢でした

その時代のテレビの歌謡曲は偉大で
都はるみに石川さゆり ピンクレディに松田の聖子ちゃんと昭和歌謡が目白押しです

当時 ミシン台に乗って歌い真似れば大喜びする祖母が見たくて 毎日のように歌い真似たことが
私が歌手になることを夢見みた最初のきっかけだったように思います

母が家でピアノの音楽教室をやっていて 私も小さい頃からピアノを習い
音大へと進学しましたが 夢中になれなかったことが身にならず
片や自由で気ままに歌える歌にどんどんと引き込まれていきました

音楽を本格的に聴き始めたのは大学の頃
とにかく理論だらけのお堅いクラシックの反動のせいか
FUNK、SOUL、90年代女性R&B、HIPHOP、AOR、NEWSOUL、JAZZ、 BRAZIL音楽
とにかく色んな音楽を聴き始めました

そんな中でも思い入れがある一つとして
名門レーベル ブルーノートから出ているMARLENA SHAW(マリーナ・ショウ)の『WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?』
と言うアルバムは衝撃的でした

『WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?』Blue Note 1975
出典:bluenote.com

冒頭一曲目の会話から始まる歌への導入は唸るほどかっちょよくて
彼女の歌のスキルはもちろんのこと 持ち前のハスキーボイスは
心をセクシャルにくすぐり 鷲掴みにされました

まだ個性も何もないまっさらな私は何度も何度も聴いて 歌い真似たけれど
あんなコブシとハスキーボイスには全く届かず
人種の違いだと言い訳をして 諦めました

そしてもう一人
1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブを収めた真夏の夜のジャズという映画に出てくる歌手
ANITA O’DAY(アニタ・オデイ)

映画『真夏の夜のジャズ』 (1960年日本公開)のチラシ、中央下がアニタ・オデイ
画像は「映画チラシサイト」( http://eiga-chirashi.jp/) より引用

薄眼を開けて少し出た前歯でドゥビドゥビとスキャットを聴かせるたびに
帽子についた羽がふわふわと揺れ
従えたバックバンドを白い手袋で さりげなく指揮する姿はとってもエレガント
持ち前の少ししゃがれたハスキーボイスと場慣れした風格はどこか不良っぽさがあり
それがとってもセクシーでたまりませんでした

ここからアニタ・オデイのレコードを買い込んでは何度も聞いて
スキャットとはなんぞやと一人キッチンで風呂場で駅までの道のりで
ドゥビドゥビとやったのですが
やはりアニタにはなれず、、
時代が違うと言い訳をして 諦めました

そしてもう一人 いやまた次の一人、、、と
好きな歌手に出会えばその人に近づきたくて歌ってはみたものの
いつの頃か誰かになることへの興味が薄れていったのは
誰にもなれないことを知ったせいか 真似ることに飽きてしまったせいか、、、

もっともっと自分自身の歌を見つけていきたい願望が強くなっていき
おかげさまでここ数年はとても良いボイトレの先生に出会えて
人に教わる喜び 歌と深い向き合い方などを教えていただけています

自分の好きな声 歌い方を探し
今では聴き惚れる瞬間まであるのだから あつかましい
茶道的に言わせれば私の歌なんて型がないので形無しで 話しにもならないのでしょう

自分で自分に酔える瞬間があるのだから 世話がない、、、
真似て諦めてきて良かったなと思います

今も昔も変わらず私にとって音楽は色々な旅をさせてくれる
『どこでもドア』 です いや 『タイムマシン』でしょうか

自分をもっと深く掘り下げた場所にある世界では
物質も時間も消え去る境界線のない世界
はるか遠くまで泳ぎ飛び渡れば 誰もみたことない
自分だけにしか見ることができない世界に出会えます

いきなり、ふっと友達に出会えたり死んだ大切な人に出会えたりして、、
それはどこか懐かしく言葉にできない感情
そんな世界を覗きたくて日々心をときめかせています

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【第1回】 マリーナ・ショウとアニタ・オデイ

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