高齢化率6割の山村に「村設民営」スーパー 予約制バスで買い物へ

松下和彦
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 人口減少と高齢化が進む長野県天龍村に「村設民営」のスーパーが27日、オープンする。スーパー周辺と村内全域を結ぶデマンドバスも走らせ、買い物弱者対策として期待されている。

 店名は「満島屋(みつしまや)」。明治初期にあった村の名や地名にちなんだ。場所はJR飯田線平岡駅前の「一等地」にある。かつて結婚式も盛んに開かれた旅館(廃業)の土地建物を買い取り、解体し地盤強化を施して新築した。事業費は総額約3億1千万円。村の一般財源のほか事業債と国の補助金でまかなった。

 2階建て建物の1階にはスーパーとコインランドリー。延べ床面積353平方メートルと広くはないが、交流スペースも設ける。デマンドバスは電話で予約を受け、村内を4地区に分けて週1回ずつ結ぶ。移動販売車の運行も計画している。

 村が買い物弱者対策の検討委員会を設置したのは5年前。一昨年には注文を受けて日用品や酒などを配達する「ご用聞き事業・やまびこデリ」を始めた。

 村にコンビニはない。生鮮食品を扱う店は3店舗あったが、この間に1店が廃業。残る2店の経営者はともに高齢で後継者はおらず、村がスーパーをつくることに賛同してくれたという。満島屋の運営は隣の阿南町の事業者が担う。

 村は県南端にあり愛知、静岡両県と境を接する。面積の9割以上が山林で、村の中央を流れる天竜川やその支流による渓谷の中に集落がある「純山村」。1960年に約5800人いた人口は30年ごとに半減し、現在は約1200人。高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は約6割で群馬県南牧村に次ぐ全国2位。関係人口を増やそうと「秘境大学」のイベントも開いている。

 永嶺誠一村長は「品物を見て選ぶのも買い物の楽しみ。(飯田線でつながる静岡県浜松市天竜区)水窪町の人も開業を楽しみにしている」と話し、「高齢化が進む地域の先駆的な試み」としている。(松下和彦)