高被引用論文数が国内大学15位に
多方面の改革を進める徳久剛史学長。千葉大学医学部の卒業生でもある
千葉大学は、昨年度から文部科学省の「国立大学法人運営費交付金の重点支援」事業で、「卓越した成果を創出している海外大学と伍した取り組み」を行う大学に選定されている。これは千葉大のこれまでの研究実績が評価されたことによるもの。優れた研究者の指標となる「高被引用論文数(研究者から多く引用された論文の数)」で千葉大は、国内大学で15位(「大学ランキング2019」から)にランクインした。
「順位では15位ですが、本学は上位の大学に比べて圧倒的に教員数が少ないのです。そうすると研究者一人当たりの論文の質が高いと考えらます。これは、本学の研究力の高さを示す確かな証しといえるでしょう」
徳久剛史学長はそう話す。成果を上げている要因の一つが、学内で推進する「トリプルピークチャレンジ」だ。これは、医療系、理工系、人文系を三つの"山"と捉え、それぞれが協力、融合して研究テーマを生み出し、併せて人材も育成していくというもの。それに合わせて、大学院を再編。医学と薬学を融合させた医学薬学府、理学と工学が一つとなった融合理工学府、人文系をまとめた人文公共学府にした。
「融合研究や融合教育は、獲得できる予算も大きくなりますし、新しい研究テーマや価値が発見できます。それぞれが自ずと刺激しあい、高いレベルの研究が期待できます」
融合研究と融合教育が新たな価値を創出する
2016年4月には、学内にグローバルプロミネント(GP)研究基幹を設置した。これは世界レベルの優れた研究を選定し、研究のサポート体制などを充実させるもの。また、世界に通用する若手研究者の育成も進める。
「このプロジェクトは融合研究と融合教育をさらに進めるもので、そのポイントになるのは、分野の垣根を越えたグループ研究の育成です。その成果は早くも出始めています」
その例の一つに今年4月、文部科学省の特別推進研究に採択されたハドロン宇宙科学がある。これはニュートリノ天文学とプラズマ宇宙研究という分野が異なる二つの研究を融合させることで、研究のスピードが加速した。
学内のみならず、学外との連携も進む。千葉大は今年6月、「千葉ヨウ素資源イノベーションセンター」を設立した。今後、千葉県と県内のヨウ素企業4社と産学官が連携してヨウ素製品の開発を行っていく予定だ。
「重点分野とした研究が強化され、それが他の研究にも影響を与え、より融合が進み、さらなるイノベーションを起こしていく。この流れをより洗練させていきたいですね」
グローバルな視点での教育にも注力
2012年にオープンした「アカデミック・リンク・センター」は図書館のほか、学習スペースも充実している
「アカデミック・リンク・センター」内で学生たちはそれぞれのスタイルで学びの時間を過ごす
学生教育の面では、千葉大は教養教育にも力を入れている。その中心となっているのが、16年に開設された国際教養学部だ。文系・理系を問わず、人文・社会・自然など広い分野にわたり豊かな教養と広い見識を備えた人材を育成することをめざしている。
「一般的にイメージされるような教養教育ではなく、『国際』『日本』『科学』の各分野をバランスよく学び、時代に即したグローバルな視点とスキルを身につけるための教育を行います。第一期生は3年生になりましたが、入学時と比べ、ずいぶんとたくましくなったように感じています」
国際教養学部にはSULA(スーラ)と呼ばれる学務系専門職員がいる。彼らは多分野にわたる科目から学生それぞれに合ったものをアドバイスするなど、学生が学修に集中できるようサポートする心強い存在だ。今後、SULAのシステムをほかの学部に拡大すると徳久学長は語る。
「千葉大学で学ぶことは、知性や教養を伸ばし、自分の将来を決めることです。そのための環境が本学には整っていますし、さらなる整備も進めていきます」
2019年に創立70周年を迎える千葉大学。さらなる高みをめざして進化が続く。

