創立100周年に向けさまざまな挑戦を
電気通信大学は今年12月に創立100周年を迎える。前身は1918年に設立された無線通信士の養成機関である無線電信講習所。「人類の持続的発展に貢献する知と技の創造と実践をめざす」を理念に、情報、通信、電子、基礎科学などの諸分野で優れた人材を送り出してきた。
ユニークで特出した専門性と幅広い興味・関心を持ち、豊かなコミュニケーション能力を備える学生を育てることを理想とし、グローバルな人材育成教育を体系化している。
「創立100周年に際し、"ひらけ、INNOVATION!"というスローガンを掲げました。"ひらけ"は扉を"開く"や開拓する"拓く"などさまざまな意味を込めて、あえてひらがなで表記しています。学生たちも想像力をひろげて意味を考えてほしい。次の100年に向け、本学の核である情報理工学の分野から新たなイノベーションを発信していきます」
2014年から学長を務める福田喬氏はそう話す。
三つの類に基づく教育改革がスタート
京王線調布駅から徒歩5分ほどと抜群の立地を誇る
電通大では、開学以来続いた電気通信学部を10年に改組し、4学科1課程からなる「情報理工学部」を設置。「総合コミュニケーション科学」という新しい概念を提唱してきた。これは人間、社会、自然の秩序を形成する全てのシステムにおけるモノ、エネルギー、情報の相互作用をコミュニケーションと捉え、それらの本質と意義の正しい理解をベースとして、対象とする課題に立ち向かうべきとする、教育研究における基本姿勢を示すものだ。
さらに、16年に情報理工学部の学部・学科制を改め、「Ⅰ類(情報系)」「Ⅱ類(融合系)」「Ⅲ類(理工系)」の三つの類と夜間主1課程による教育をスタートさせた。それぞれ電通大の基盤となる情報理工学を中核としながら、各類に関連する学問を幅広く学ぶ。
「2年生後期に14の教育プログラムから専門分野を絞り込みます。これにより、学修者主体の教育研究体制となっています。また、修士課程との教育の一貫性を強化したことで、裾野の広い基礎力と高度な専門性を体系的に身につけられます。今の3年生が初めて専門分野に入った段階ですから、結果が出るのはまだ先のことですね」
昨年は5カ年計画となる「DC&I戦略」を打ち立てた。DはDiversity(ダイバーシティ)、CはCommunication(コミュニケーション)、IはInnovation(イノベーション)を意味し、多様性を育みながらコミュニケーションを促進し、イノベーションを生み出そうというものだ。
「最近は学生の興味が情報系にシフトしていますが、ハードも含めたモノづくりを重要視することが必要だと考えています。そのためにも『楽力(がくりょく)』教育が重要です」
「楽力」教育とは、電通大が十数年にわたって進めてきた、楽しんで学ぶ体験型プログラム。モノづくりを通して技術者に必要な能力を養う。
「例えば、学生が自由に使える研究施設である『ピクトラボ』には3Dプリンターなどの多くの機材がそろい、自分がつくりたいものを開発できます」
学内外のコンテストに出品するなど社会にコンタクトしてフィードバックしながら、実践的に学ぶことが可能だ。
「モノや技術はただ発信してもイノベーションにはならない。社会で認められて初めてイノベーションになるんです。社会が何を求めて、何を評価するかを学生に学ばせたり、体験させたりするのがこの教育の重要な意義だと考えています。こうした活動は産学連携のニーズにもつながるので、これからも大事にしてきたいです」
社会に出て必要なものを見極める
学生たちの自主性を育む「ピクトラボ」
電通大はこれまで送り出してきた専門技術者に対する評価が高く、毎年、就職率は国公立大学のなかでもトップクラス。実際、博士前期課程修了者は100%に近い就職率を誇る。
「本学は就職のための教育をしているわけではありません。それは結果であって、学生それぞれが、社会に参画する場合、何が必要かを見極め、学んでほしい」
電通大が求める学生像について福田学長はこう話す。
「失敗を恐れず、チャレンジできる学生が集まってくれることを期待しています。そういう姿勢があれば、結果は十分あとからついてくる。若い時には少々失敗したっていい。電通大には学生のみなさんをサポートできる体制が整っています」

