新たな時代要請に応え7学部23学科へ
2018年、首都大学東京は4学部7学科から7学部23学科へと学部学科を再編成した。これは、05年の開学から10年以上が経過し、社会が大きく変化するのに合わせて教育体制を新たに構築する目的で行われたものだ。これまで南大沢キャンパスと日野キャンパスに分かれていた工学系を統合し、情報科学科をシステムデザイン学部に創設。観光科学科と都市政策科学科を都市環境学部に設置するなどの改革を行った。
「この改革がどう受け止められるだろうと不安な面もありましたが、蓋(ふた)を開けてみれば一般入試の応募倍率は6・8倍と前年同様に高く、受験生たちに受け入れていただけたと安堵(あんど)しています」
と上野淳学長は話す。
「観光科学科はホテルワーカーを育てるような文系の学科ではなく、文理が融合し、観光都市の発展に貢献する真の意味でサイエンスを研究するユニークな学科です。4年後の成果を楽しみにしています」
世紀の祭典をさまざまな形で支援
東京マラソン2018のスタート地点。約3万6000人のランナーが参加した
首都大は教員と学生を合わせて約1万人の中規模大学であるため、学生と教員、教員同士の距離が近く、丁寧な研究、教育が行われているのが特徴だ。
「少なくとも1年間は南大沢キャンパスで専門の異なる学生が一堂に会して、切磋琢磨(せっさたくま)し合い勉強する。自然にも恵まれ、学びやすい環境です」
また、教員一人ひとりが質の高い研究力を持ち、それに呼応するように多くの学生が集まり、理系を中心に大学院へと進学。研究水準がさらに高まるという好循環が生まれている。
「学生諸君に東京都の公立大学であるというマインドが根差しているのかは分かりませんが、卒業後、相対的に国家・地方公務員となって行政にしっかり参画してくれている学生が多いのも、本学の特徴かもしれません」
16年開設のボランティアセンターでは、学生が障がい者スポーツやスポーツイベント、地域、高齢者などをサポートする活動に参加している。今年2月に開催された東京マラソンでは、90人ほどの学生が、ゴール地点でスタート時に預かった参加者の荷物を返却するボランティアを務めた。2年後に迫った東京2020オリンピック・パラリンピックでも、学生たちの活躍が期待されるが、首都大では東京都の公立大学ならではの方針がすでに決まっている。
「オリンピック期間中は原則として試験も授業もありません。4月の早い時期から授業を始め、オリンピックが始まるまでには前期の試験を終える予定です。やはり東京で開催される世紀の祭典ですから、ボランティアだけではなく、観戦することも大事です」
首都大では現在、大学としての将来像の策定を進めている。
「例えば、それぞれの学問分野でトップレベルに入るというような目標を掲げます。公立大として社会への説明責任も果たしつつ、大学としての"志"を示すものにしていければと。考える力や未来に挑戦する力を持った学生を育てていく礎となるビジョンにしていきたいです」
現在、全学生の約6%となる545人の外国人留学生も22年度までに10%にする目標を設定し、増員に力を入れていく。
「今年の入学式では、本学は海外留学に積極的で、いろいろな支援やプログラムも準備しているので、ぜひ挑戦してほしいと新入生に呼びかけました」
真の学びは学び続けるなかにある
「大学としての“志”を示していきたい」と上野淳学長は抱負を語る
上野学長は首都大の前身の一つである東京都立大学の出身で、専門は建築学。1964年の東京オリンピック開催時は高校生で、丹下健三氏の設計による国立代々木競技場第一体育館の斬新さに衝撃を受け、「より一層建築への興味が湧いた」と振り返る。その学びの道は現在も続いている。
「著しい科学技術の進化により、今ある職業が10年20年先にはどうなっているかわかりません。これからの時代で活躍するために必要なことは、時代の要請に従い学び続ける姿勢だと思います。学生たちには本学でその基礎を確立してもらいたいと考えています」

