キャンパスの移転は今秋に完了
1991年から検討を進めてきたキャンパスの統合移転計画が大詰めを迎えている。
九州大学は、2018年秋までに箱崎地区(福岡市東区)、六本松地区(同市中央区)、原町地区(福岡県粕屋町)の3カ所のキャンパスを新キャンパス「伊都キャンパス」(福岡市西区)に統合移転する。伊都キャンパスの面積は272ヘクタールで、国内の大学では有数の広さを誇る。
「伊都キャンパスは、これからの九大が向かうべき方向性を象徴しています」
そう語るのは、18年4月に新設された共創学部の小山内康人学部長だ。
「05年に工学部が伊都キャンパスに移転して、人文社会系の学部も今年度内に移転が完了します。これにより、つかず離れずの距離感があった理系と文系の教育を合体させて一つの教育をめざすことが実現可能になりました」
文理融合型の教育をめざす共創学部
「課題構想力」「協働実践力」「国際コミュニケーション力」「共創的課題解決力」の養成をめざす共創学部
小山内学部長が話す「一つの教育」とは、人文・社会・自然科学といった学問分野を横断する文理融合教育のことだ。
「複雑化するグローバル社会の課題を解決するためには、専門分野や言葉の壁を超えて、多様な人々と共に新しい知識や価値を創造していかなければなりません。そのための人材育成をめざして新設されたのが共創学部です」
共創学部では、理系や文系といった従来の学問分野の枠組みを超えて、地球的・人類的な課題の存在する領域として四つのエリア(「人間・生命」「人と社会」「国家と地域」「地球・環境」)を新しい学びの場として設定。それぞれのエリアに、課題解決に必要な多様な学問分野の授業を用意している。
また、多様な学生を選抜するため、「AO入試」「推薦入試」「一般入試」「国際型入試」の四つのタイプの入試を実施。18年度入試では定員(105人)を大きく上回る486人の志願者が集まった。
「志願者のなかには、地球温暖化や拡大する感染症、地域紛争など、地球規模の課題について高い問題意識を持つ学生がたくさんいて素直に驚きました。そうした課題を解決するための知識や経験を『共創学部での学びを通して得たい』という強い意欲が伝わってきました。九大はもちろん、日本の未来においても将来が楽しみな学生が集まったと感じています」
1年生の渡邉七江さんは、そんな学生の一人だ。
「海外の農学系大学に留学したい」と話す渡邉七江さん
「途上国で無駄になっている廃棄物やたい肥などを有効利用する方法を学びたい。高校生のころから化学の実験が好きだったので、将来は化学の力とその他の分野の知識を融合させて他者や社会の役に立つ仕事をしたいと思います」
地球規模の課題解決を掲げる以上、語学力は必須のスキルだ。共創学部では国際コミュニケーション力を培うため、1年次に「英語インテンシブコース」を受講して、学術英語の語彙や表現だけでなく、自らの意見を述べる力など、外国語による合意形成プロセスを徹底的に学ぶ。日本人と留学生が同じ場で学び、日本人学生は海外大学などへの留学が義務づけられている。
「英語インテンシブコースの授業は全て英語で行われます。教室には留学生や帰国子女がたくさんいるので周囲は英語であふれている。入学して数カ月ですが、すでに英語のスキルアップを実感しています」(渡邉さん)
学部の壁を超えた教育体制を構築
新学部担当副理事も務める小山内康人学部長
1967年の歯学部創設以来、約50年ぶりに新設された共創学部。学生には知的基礎体力を礎に、自分で問いを立て、課題解決に必要な学問分野を自分で選択し、その答えを見つけ出していくという能動的な学びが求められている。その行く末を、小山内学部長は誰よりも楽しみにしている。
「集まった学生の熱意に応じるためにも共創学部には、組織間の壁を取り払い、21部局の教員が参画しています。地球的・人類的な課題解決を担う人材を育成して、世界に送り出したい」(小山内学部長)

