国際的な視野を持つ人材の育成をめざす
都留文科大学は昨年、国際教育学科を新設した。その一期生が、今夏からデンマーク、スウェーデン、フィンランドの北欧3カ国9大学へ半年間留学する。この留学はEUが教育水準の向上をめざして設立したプログラム「Erasmus+」に組み込まれた。2014年からの7年間で約2兆円を拠出して展開されるこのプログラムは、教員・学生の「越境する行き来(モビリティ)」を最も重視する。
国際教育学科は、日本語と英語の二言語で授業を行い、"英語を"学ぶのではなく、"英語で"学ぶ学科である。さらに同校は国際的な教育プログラムである国際バカロレア(IB)教員養成の認可を受けた高等教育機関として、IB教育にも力を入れている。
「国際教育学科の学生は英語に対する抵抗感があまりないようです。今年2年生になった彼らは1年生のときに比べて、何事にも逃げないで取り組む意欲が見られます」
授業はただ聞くだけでなく、積極的に発言するアクティブラーニング
福田誠治学長はそう話し、学生たちの成長に目を細める。留学を控えた同学科2年の3人に話を聞いた。
田原萌々香さんは、幼いころから教師に憧れていたが、中学時代に国際協力に興味を持った。以来教育と国際協力を学びたいと思い、そのためには留学が必須とも考えていた。進学先を調べるなかで、都留文科大の国際教育学科に出合った。
「私の希望をかなえてくれる大学だ、と興奮しました」
入学後、さらに田原さんのモチベーションを高めたのが、IB教育のプログラムである。多様性への理解と主体性を重視するIBの理念を学ぶにつれ、成績のためでなく、人間的成長のためにこそ学ぶという、「学び」本来の目的を再確認した。
「講義だけではなく、日々の暮らしのなかにも学びはたくさんあることに気づけました。留学先でも多くのことを吸収してきたいです」
都留文科大では、学生の9割が自宅外からの通学だ。国際教育学科は2年後期に半年間留学するため、2年間は大学が借り上げた宿舎で生活をしている。三浦庸太郎さんもその一人だ。
英語による講義で"使える英語"の習得を
インターナショナルコーディネーターの櫻場江利子さん(後列)と国際教育学科の学生たち。前列左から三浦庸太郎さん、田原萌々香さん、荒田悠莉さん
「私は埼玉県出身で、同級生の多くが東京の大学に進学しましたが、私は都留文科大に決めました。ここは環境もよく勉強に集中できますし、宿舎には、友人たちが多く暮らしているのも心強いです」
三浦さんは英語が得意だったこともあり、英語系の学部への進学を考えていた。そんな折、同学科が新設されることを知り、入学を決めた。しかし、入学後に現実を突きつけられた。
「授業は英語で行われますが、そのとき自分の意見を英語に変換できない、つまり話せないことを痛感したんです。テストの点は取れるけれど、英語は使えていないと分かりました」
そこで、言語はどのように修得されていくのかに関心を持ち、留学先では言語習得のコースで、言葉が身につく過程を学ぶ予定だ。
次世代を育てる global educatorに
デンマークの先生が行った、アウトドア教育の出前授業。とても有意義で充実した内容だったという
留学にはそれぞれ確固とした目的がある。荒田悠莉さんは、留学先で、五感を駆使して体験的に学習する「アウトドア教育」を学びたいと考えている。
「私は田舎で育ったこともあり、子どものときこそ自然に触れ合うことが大事だと思っています。北欧はアウトドア教育が進んでいるので楽しみです」
荒田さんは高校までヨット部に所属していた。ヨットを操船するには、天候に精通していなければならない。ヨットに限らず自然を知ることは、生きるために大切なことと考えている。
「北欧のアウトドア教育プログラムをそのまま日本に持ってくるのではなく、日本にあった形を見つけ、広く普及させたいと考えています」
国際教育学科の学生たちをサポートするために新設されたインターナショナルコーディネーターの櫻場江利子さんは、「留学は人まかせではなく、学生が主体的に行動しなければならない」と説明する。留学先は大学側で最終決定するが、留学する大学の調査、申込み書類の作成などは学生がその意義をとらえ、自分で決めている。
「日々成長している様子がわかり、うれしく思っています」

