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【第1回】 ポートフォリオとは何ですか?

ウェルスナビ 代表取締役CEO柴山 和久

<まとめると>

  • 「ポートフォリオ」とは、いろいろな資産の組み合わせのこと
  • 海外の基金や富裕層は、ポートフォリオを組んで資産運用を行っている
  • 金融とITと組み合わせたフィンテック(FinTech)により、誰でもポートフォリオを組んで資産運用ができる時代に

これから資産運用をはじめたいと思っている方にとって、「ポートフォリオ」ほど大切なものはありません。しかし、「ポートフォリオ」という言葉は一般になじみがなく、聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。

資産運用の世界では、「ポートフォリオ」とは「いろいろな資産の組み合わせ」を意味します。資産の種類には、預金、トヨタ株やアップル株などの株式、債券、純金や原油などの天然資源、不動産などがあります。そして、いろいろな資産を組み合わせ、「ポートフォリオ」を組んで資産運用をしていくことが、資産運用の基本中の基本です。

もう少し具体的に知るために、世界で一番多くの資産を保有している人たちが、どのように資産運用をしているのかを見てみましょう。世界で一番のお金持ちは、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏で、個人資産は10兆円弱と言われています。

しかし、世の中には、ビル・ゲイツ氏の資産よりも大きな金額を運用している基金があります。例えば、ノルウェー政府年金基金は、北海油田からの収益を運用しており、運用額は約100兆円と、世界最大規模です。これほどの資産があれば、世界中の専門家のサポートを受けて、最良の方法で資産運用を行うことができそうです。

そこで、ノルウェー政府年金基金の資産を見てみましょう。65%が株式、33%が債券、3%が不動産です。さらに具体的な中身をみてみると、アップルやネスレをはじめとする77ケ国・地域の8,985銘柄に分散して投資しています。まさに、いろいろな資産を組み合わせてポートフォリオを組んで運用しているのです。(引用元:https://www.nbim.no/)

もう一つ、アメリカ最大の基金の一つで、先進的な運用手法で知られるカルパース(CalPERS: カリフォルニア州職員年金基金)を見てみましょう。カルパースの資産(約36兆円)の内訳をみると、株式が56%、債券が19%、不動産等が11%となっており、その他にも天然資源などの資産にも幅広く分散しています。やはり、ポートフォリオを組んで資産運用を行っているのです。(引用元:https://www.calpers.ca.gov/page/investments/asset-classes/asset-allocation-performance/investment-fund-values)

ウェルスナビ提供

何十兆円もの資産を運用する投資家は、どうしてポートフォリオを組んでいるのでしょうか。なぜ預金中心ではないのでしょうか。株式に投資するとしても、どうして、アップルのような成長企業だけでなく何千もの企業に分散して投資しているのでしょうか。

その理由は、ポートフォリオを組み、いろいろな資産に分散して運用した方が安定して資産が増えていくことが、理論的にも経験上も知られているからです。

いろいろな資産を組み合わせることで、リスクを減らして安定的に資産運用を行うことができます。このことを証明した経済学者のマーコウィッツ氏は、1990年にノーベル経済学賞を受賞しました。(非常に美しい数式ですので、理系で興味のある方は、ぜひ調べてみることをおすすめします)

ポートフォリオを組んで資産運用を行うやり方は、まずは、巨額の資産を運用する年金基金によって実用化され、さらに世界中の富裕層の間でも、徐々に普及していきました。

最近では、誰でもポートフォリオを組んで安定的に資産運用を行うことができる時代になりつつあります。

伝統的には、投資信託というツールがあります。投資信託とは、数千、数万もの人たちからお金を集め、ひとまとまりの運用資産(ファンド)を作り、それをいろいろな資産に分散して投資する仕組みです。

投資信託の最大のメリットは、銀行や証券会社などで簡単に購入できる点です。商品によっては、運用会社からインターネットで直接購入することもできます。投資信託は、富裕層でなくともポートフォリオを組んで資産運用ができるという点で、非常に優れた仕組みです。その一方で、同じ種類の投資信託だと保有者の全員の資産運用の内容が全く同一になってしまい、自分自身にぴったりあったものを見つけにくいという限界もあります。実際、日本には6,000もの投資信託があり、「多すぎて選べない」という悩みも多く聞きます。

そこで最近では、金融(finance)とIT(technology)を組み合わせたフィンテック(FinTech)を活用して、一人ひとりに合わせたポートフォリオを自動的に組んで運用してくれる「ロボアドバイザー」と言われる新しいサービスも登場しています。アメリカを中心に急速に普及しつつあり、2020年にはロボアドバイザーが世界全体の資産運用の10%を占めるという予測もあるほどです。(引用元:http://www.businessinsider.com/4-reasons-robo-investing-growing-2017-1)

そのような新しいサービスが日本で普及するかどうかは、現時点では未知数です。インターネットやスマートフォンの普及と同様に、いろいろな紆余曲折もあるのかもしれません。しかし、誰でも自分にあったポートフォリオを組んで資産運用ができる時代がすぐそこまでやって来ているのです。

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