
資産運用の王道「長期・積立・分散」の「分散」って何ですか?
ポイント
- 分散投資とは、さまざまな資産や国に分けて投資すること
- 分散投資をしておくと、損をする可能性が低くなる
- 金融危機が起これば一時的に資産が減ることがある
「分散」すると損をする可能性が低くなる
全自動で資産を運用するロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」は、「長期・積立・分散」をコンセプトとしています。これまでのコラムでは、「長期」と「積立」がなぜよいかについてお伝えしてきました。今回は「分散」がなぜよいかについてお伝えしようと思います。
資産運用における「分散」は、さまざまな資産の種類、国に分けて投資することをいいます。たとえば、「株式や債券、不動産に分けて投資する」「アメリカやヨーロッパ、新興国などさまざまな国の株式に分けて投資する」といった具合に、投資する先を組み合わせるのです。
以前のコラム「リスクとは何ですか?」でお伝えしたように、投資にはリスク(損をする可能性)がつきものです。分散投資がなぜよいかというと、投資する先を分けておくことで、リスクを抑えながらリターンを増やすことができるからです。

集中投資をおすすめしない理由
「分散投資」の逆が「集中投資」です。「ある会社の株だけを買う」のはもちろん集中投資ですし、「すべての資産を銀行預金においておく」のも同じく集中投資です。
集中投資は分散投資に比べ、リスクが高くなります。
一つの会社の株式だけに投資した場合、株価が上がっているうちはいいですが、何らかの原因で買ったときの水準を株価がかなり下回ってしまうかもしれません。世間一般に「安定している」といわれている会社の株式でも、予想できない出来事によって株価を下げてしまうことがあります。
リーマンショックのとき、米国株やサブプライム関連の債券の価格は下がりましたが、金や米国債の価格は上がりました。さまざまな資産や国に投資をしておけば、一部の金融商品の価格が下がったとしても、影響は少なくて済むでしょう。
「日本だけ」はリスクが高い
あまり意識されていないかもしれませんが、「日本の不動産と日本株に投資する」のも、投資先が日本に偏っているので集中投資だといえるでしょう。
1992年からの25年間、日本の代表的な株式(東証株価指数: TOPIX)に分散投資をすると、どうなったでしょうか。下のグラフはそのシミュレーション結果です。
“失われた20年”とはまさにその通りで、25年間のおよそ半分の期間において、資産の評価額が投資にあてた金額を下回っていることがわかります。

投資にあてた合計である1000万円は、最終的に1432万円とおよそ1.4倍に増えたことになります。ただ、損をしている期間がのべ10年以上あるとなると、分散投資の効果があるとはいえないでしょう。
「世界全体」に分散投資をすると…
それでは、同じく1992年からの25年間、世界経済全体に対して分散投資をするとどうなったでしょうか。下のグラフは、そのシミュレーション結果です。

この25年間にはリーマンショックをはじめ、大きな金融危機が5回ほどありましたが、それらを乗り越えてリターンを出していることがわかります。投資にあてた総額である10万ドルは、最終的に24.2万ドルとおよそ2.4倍になっています。一時的に資産の評価額を大きく減らしている時期もありますが、時間がたつにつれ回復しているのがわかります。
世界中の資産に自動で分散投資をするロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」は、ユーザーがどれだけリスクを取れるかに応じて資産を組み合わせ、50カ国1万1000銘柄に分散投資をしています。資産のバランスが崩れると自動で組み直しをする「リバランス」の機能もあり、ユーザーにとっていちばんいい配分で分散投資ができるようにしています。
資産運用に“絶対”はない
一般の方が資産形成をするときには、分散投資をおすすめします。ただ、分散投資をしたからといって絶対に損をしないということではありません。
金融危機がいつ起こるかは専門家でもわかりません。以前のコラム「ポートフォリオとは何ですか?」でお伝えしたように、バランスの取れた組み合わせで分散投資をしても、リーマンショックのような金融危機が起これば、一時的に資産は減ってしまいます。
分散投資をしておけば、損をする可能性をできるだけ減らしながら、長い目でリターンを最大化することができるのです。