
【第4回】なぜ今「つみたて」が話題なんですか
なぜ今「つみたて」が話題なんですか
- 来年1月に「つみたてNISA」がスタートするため、「つみたて」が大きな話題に
- これまでは資産運用は高齢者が行うものだったが、最近は働く世代こそ資産運用を行うべき時代になっている
- 「つみたて」は働く世代の資産運用の強い味方
「つみたてNISA」の受付が10月からスタート
最近、「つみたて」という言葉を聞く機会が急に増えてきました。これは、来年1月からスタートする投資「つみたてNISA」の受付が、10月より金融機関で始まったためです。
銀行や証券会社などの金融機関がホームページやポスターで熱心に宣伝していますし、新聞や雑誌でも大きな話題になっています。
「つみたてNISA」とは、資産運用に対する税優遇が受けられるNISAの「つみたて」版です。毎年40万円まで積み立てると、最長で20年間、非課税での資産運用が可能です。
これまでのNISAと比べると、非課税枠が毎年40万円(20年間で800万円)と小さくなっている一方、非課税の期間が20年間と長くなり、より長期での資産運用を促すような仕組みとなっています。
それではなぜ、「つみたてNISA」という制度が導入されることになったのでしょうか?
それは今、働く世代の資産運用が大切な時代になっており、「つみたて」は働く世代の強い味方だからです。
働く世代の資産運用が大切な時代
現在、日本では約1,800兆円もの個人金融資産があります。その実に3分の2が60歳以上の高齢者によって保有されています。若いときに住宅ローンを組み、退職金で住宅ローンを完済して残った資金で資産運用をはじめるのがこれまでの日本人の資産運用スタイルでした。
つまり、これまでの日本では、資産運用とは主に高齢者が行うものだったのです。しかし、現在、退職金の減少や年金不安により、働きながら資産運用をすることが必要な時代になりました。
厚生労働省の調査によれば、大卒で大企業に入って定年まで働いた場合の退職金の額は、年間2.5%のペースで減少しています。仮にこのペースで減少し続けると、今から25年後、現在35歳の人が定年退職する頃には、退職金の平均額は1,000万円を下回ってしまいます。さらに、少子高齢化により、将来の年金に対して不安を感じるという人も増えています。
そこで、政府も働く世代の資産運用をサポートするためにいろいろな政策を打ち出しています。その一つが、来年1月にスタートする「つみたてNISA」です。
「つみたて」は働く世代の強い味方
働く世代が資産運用をはじめるにあたり、「つみたて」には大きなメリットがあります。
それは、株価や為替相場などの一時的な動きに左右されず、着実に長期的な資産運用に取り組める、というメリットです。
普段、スーパーに買い物に行くときには、肉や野菜が特売で安いときには多めに買い、高いときにはあまり買わないものです。
ところが、資産運用となると、なぜか日本でもアメリカでも、真逆の行動を取ってしまう人が多いことが知られています。値上がりしている投資信託や株があると(本当は割高なのに)購入したくなり、値下がりすると不安になって(本当は割安なのに)売って預金に戻したくなってしまうのです。
「つみたて」をして毎月一定額を自動的に資産運用に回せば、そのような「高く買って、安く売る」という行動を避けることができます。その結果、リスクをうまくコントロールしつつ、より高いリターンを得ることができるのです。
「つみたて」で資産運用を行う際には、「つみたてNISA」や確定拠出年金(企業型、個人型)などの、さまざまなツールを活用することができます。しかし、それぞれにメリット・デメリットもあり、複雑です。ぜひこの機会に、「つみたて」について調べはじめてはいかがでしょうか?