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相続税

最終更新日:2025.3.31

続税は遺産がいくらから課税される?
相続を得意とする税理士に
インタビュー

相続税は遺産がいくらから課税される?相続を得意とする税理士にインタビュー

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続税が課税されるかどうかの判断方法
  • ■ 相続税の「早見表」の見方
  • ■ 相続税で活用できる特例・税額控除

「相続税は遺産の総額がいくらから課税されるのだろう?」
「相続税の額の目安を知っておきたい」

多くの人にとって、「相続」は人生で1~2回しか経験しないものです。このため、相続税に馴染みのある人はなかなかいないと思います。

そこで今回は、フリーアナウンサーの仁科美咲さんが、VSG相続税理士法人・代表税理士の古尾谷裕昭さんに相続税の基本についてインタビューしました。

相続が発生した、もしくは近い将来に相続がありそうな方は、ぜひこの内容を参考にしてみてください。

相続税のかかる財産・かからない財産

図表

――まずは初歩的な質問となりますが、どのような財産に相続税がかかるのでしょうか?

相続税の対象となる財産は、亡くなったときに持っていたものすべてです。財産の代表例は、次のとおりです。

  • 現金

  • 預貯金

  • 不動産(土地・家屋)

  • 有価証券

  • 貴金属

  • 美術品・骨董品 など

これらの財産のことを、一般的に「プラスの財産」といいます。

また、亡くなった時点で被相続人が持っていた財産以外にも、「みなし相続財産」と「贈与財産」の二つの財産は相続税の対象になることがあります。

みなし相続財産は、民法上は受取人の財産とされていますが、人が亡くなることで財産の移転が生じることに着目して、相続税が課税されることになっています。

贈与財産が相続税の対象となるのは、死を予期して贈与することで、相続税が課税されるのを逃れようとすることを防止するためです。また、相続時精算課税で贈与した財産は、制度上、相続財産に含めて相続税を計算すると決められています。

みなし相続財産 ・生命保険金
・死亡退職金 など
贈与財産 ・被相続人(亡くなった人)の亡くなる前7年以内に、相続人へ贈与された財産
・相続時精算課税によって贈与された財産

被相続人が亡くなったときに持っていた財産すべての中には、相続税がかからないとして非課税とされる財産があります。「お墓・仏壇・位牌」などの祭祀関係のものが代表例です。これは国民感情を考えてのことですね。

生命保険金は「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。これは、生命保険金が遺族の生活を保障する性質を鑑みたものとなっています。

相続税の計算をする際には、「プラスの財産・みなし相続財産・贈与財産」を足し合わせ、非課税財産を控除し、さらに下記の「マイナスの財産」を差し引いて、「課税価格の合計額」を求めます。

マイナスの財産 ・借入金
・税金や医療費などの未払金
・葬式費用 など

さらに、課税価格の合計額から「基礎控除額」を差し引くことで「課税遺産総額」が算出されます。相続税は、この課税遺産総額をもとにして、相続税の総額や相続人ごとの納付税額を計算していきます。

ここまでの話をまとめたのが、次の図です。

図表

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相続税がかかるかどうかのカギは「基礎控除」

――先ほどの話に出てきた「基礎控除」は、どのように計算するのでしょうか?

相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。

図表

次の式を見てわかるとおり、「課税価格の合計額」が「基礎控除額」よりも少ないと、「課税遺産総額」は0円になります。

  • 計算式

  • 課税遺産総額=課税価格の合計額-基礎控除額

課税遺産総額が0円であれば、もちろん相続税はかからず、税務署への申告も不要です。

ここで、具体的な金額を挙げながら考えてみましょう。

たとえば、課税価格の合計額が5,000万円、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は「3,000万円×(600万円×2人)=4,200万円」です。そこで、課税遺産総額は「5,000万円-4,200万円=800万円」と求められ、この800万円に相続税がかかります。

一方、同じケースで法定相続人が4人の場合は、基礎控除額は「3,000万円×(600万円×4人)=5,400万円」で、「課税価格の合計額」を超えます。このため、相続税はかからず申告も必要ありません。

以上からわかるように、相続税は法定相続人が多いほど税の負担が軽くなるという特徴があります。

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基礎控除額の計算には「法定相続人」の把握が重要

――相続税の負担を左右する基礎控除額の計算には、法定相続人の数の把握が重要ということですね。

そのとおりです。ここからは、その法定相続人について詳しく見ていきましょう。

そもそも法定相続人とは、「民法に定められた、被相続人(亡くなった人)の財産を引き継ぐ権利のある人」のことで、次の図のように親族のなかで優先順位が決められています。

図表

まず、被相続人に「配偶者」がいる場合には、常に法定相続人になります。

ほかの親族の優先順位は、「第1順位:被相続人の子供」「第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)」「第3順位:被相続人の兄弟姉妹」の順です。

ここで注意が必要なのは、「先順位の相続人がいる場合、下位の人は相続人にならない」ということです。

たとえば、被相続人に配偶者と子供がいて、両親も存命だった場合、配偶者と第1順位の「子供」は法定相続人になりますが、「両親」は法定相続人になりません。

実際に「誰が法定相続人になるのか」を確認する際は、被相続人を中心とした家系図を書くとわかりやすいです。

法定相続人とは?範囲や相続割合、確認するときの注意点について解説
法定相続人って誰のこと?範囲や順位を税理士と確認【家族のカタチで相続も変わる】

相続税額の目安となる「早見表」

図表

――続いて「相続税の額の目安」について、家族構成別に簡単に把握する方法はありますか?

弊社では、一般的な相続を想定した「相続税の早見表」を作成しています。

相続でよくあるのが、次の図のように「片方の親が亡くなった(一次相続)」後に、「もう1人の親が亡くなる(二次相続)」ケースです。

図表

上の例では、1回目の相続で父の遺産を「母・長男・長女」の3人で相続し、2回目の相続で母の遺産を「長男・長女」の2人で相続することになります。

このうち1回目の相続を「一次相続」、2回目の相続を「二次相続」というのですが、それぞれの相続税額の目安がわかる早見表を使うと便利です。

【相続税の早見表】相続税はいくらかかる?計算なしで概算の税額がわかる

一次相続の早見表

まず、一次相続の早見表は次のとおりです。

法定相続人
配偶者と子供1人 配偶者と子供2人 配偶者と子供3人 配偶者と子供4人
遺産総額 4,000万円
5,000万円 40万円 10万円
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円 50万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円 163万円
1億円 385万円 315万円 263万円 225万円
1億5,000万円 920万円 748万円 665万円 588万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,217万円 1,125万円
2億5,000万円 2,460万円 1,985万円 1,800万円 1,688万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円
3億5,000万円 4,460万円 3,735万円 3,290万円 3,100万円
4億円 5,460万円 4,610万円 4,155万円 3,850万円
4億5,000万円 6,480万円 5,493万円 5,030万円 4,600万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,962万円 5,500万円

この表では、財産を法定相続人全員が法定相続分どおりに相続したと仮定して、それぞれのケースでの「相続税の総額」を示しています。ご自身の状況に近い「遺産総額」と「子供の数」を見ると、大体の相続税額がわかります。

この早見表を見るうえでのポイントは、以下の二つです。

  1. 被相続人の配偶者には、「配偶者の税額軽減」が適用される
  2. 子供の数が多いほど、相続税額は少なくなる

一つ目のポイントは、「被相続人の配偶者には、配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)が適用される」ことです。

配偶者の税額軽減では、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までの財産について相続税がかからないため、ほとんどのケースで配偶者の税額は0円です。

このため、先ほどの早見表では「配偶者の相続税額は0円」として、表中の税額を子供たちで分担することが想定されます。

二つ目のポイントは、「子供の数が多いほど、相続税額は少なくなる」ことです。

先ほどお話したとおり、相続税の基礎控除額は次の式で計算されます。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

このことから子供の数が多いほど、法定相続人の数が増えるため基礎控除額は増え、さらに税率が下がることで、最終的に算出される相続税額は減ります。

二次相続の早見表

続いて、二次相続の早見表は次のとおりです。

法定相続人
子供1人 子供2人 子供3人 子供4人
遺産総額 4,000万円 40万円
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円 160万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円 360万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円 490万円
1億5,000万円 2,860万円 1,840万円 1,440万円 1,240万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円 2,120万円
2億5,000万円 6,930万円 4,920万円 3,960万円 3,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円
3億5,000万円 1億1,500万円 8,920万円 6,980万円 6,080万円
4億円 1億4,000万円 1億920万円 8,980万円 7,580万円
4億5,000万円 1億6,500万円 1億2,960万円 1億980万円 9,080万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円 1億1,040万円

一次相続の早見表と比較すると、全体的に相続税の負担が増えていることがわかるかと思います。税額が上がった原因は、以下の二つです。

  1. 被相続人の配偶者がおらず、「配偶者の税額軽減」が適用されない
  2. 配偶者がいないことで法定相続人が減り、基礎控除額も少なくなった

以上のように、「一次相続よりも二次相続のほうが、相続税の負担が重くなりやすい」ことは、みなさんに注意していただきたいポイントです。

二次相続とは?一次相続との違いや5つの相続税対策について

基礎控除以外で活用できる特例・税額控除

――相続税の負担を少しでも軽くするために、基礎控除以外にも活用できる制度はあるのでしょうか?

先ほど紹介した「配偶者の税額軽減」も税負担を大きく軽減できる制度でしたが、ほかの代表的なものとして、以下の三つがあります。

  1. 小規模宅地等の特例
  2. 未成年者控除
  3. 障害者控除

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、相続した土地が一定の要件を満たしている場合に、評価額を最大80%減額し、相続税の負担を軽減できる特例です。

ただし、適用要件は次のように「土地の利用区分・限度面積・対象者」などによって細かく定められています。

土地の利用区分 特定居住用宅地等 特定事業用宅地等 特定同族会社事業用宅地等 貸付事業用宅地等
限度面積 330㎡ 400㎡ 400㎡ 200㎡
対象者 ・被相続人の配偶者
・被相続人と同居している親族
・被相続人と別居している親族
・被相続人の親族 ・被相続人の親族 ・被相続人の親族
要件 【配偶者】
・なし

【同居親族】
・相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続き居住し、かつ所有している

【別居親族】
・相続開始前3年以内に、取得者や配偶者、3親等内の親族、一定の関係のある法人などの所有する家屋に居住したことがない
・相続開始時に居住している家屋を相続開始前に一度も所有したことがない
・被相続人に配偶者や同居の法定相続人がいない
・相続税の申告期限まで土地を所有している など
・相続開始の直前において、被相続人などの事業に土地を用いている
・土地の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ申告期限まで事業を営んでいる
・土地を相続税の申告期限まで所有している
・相続開始の直前において、被相続人および被相続人の親族等が50%超の株式を所有する法人の事業に土地を用いている
・相続税の申告期限において、土地の取得者は法人の役員である
・相続税の申告期限まで土地を所有している
・土地に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ貸付事業を続けている
・土地を相続税の申告期限まで所有している
減額割合 80% 80% 80% 50%

小規模宅地等の特例を適用して相続税が0円になっても、相続税の申告は必要となります。また、小規模宅地等の特例は複雑な制度のため、適用したい場合には税理士に相談することをおすすめします。

小規模宅地等の特例とは?適用要件や手続き、必要書類をわかりやすく解説

未成年者控除

未成年者控除とは、相続人のなかに18歳未満の未成年がいる場合に、税の負担を軽減できる制度です。具体的な控除額は、下記の式で計算できます。

  • 計算式

  • 未成年者控除の控除額=10万円×(18歳-相続開始時の年齢)

なお、この控除は、相続税額から直接差し引きます。

たとえば、15歳の相続人の相続税額が「100万円」だった場合、「10万円×(18歳-15歳)=30万円」を控除し、納税額は「100万円-30万円=70万円」となります。

相続税の未成年者控除とは?適用要件や控除額の計算方法をわかりやすく解説

障害者控除

障害者控除とは、障害を持つ相続人の税負担を軽減する制度です。控除額は「一般障害者」と「特別障害者」で異なり、それぞれの計算式は次のとおりです。

一般障害者
対象者 ・知的障害者
・精神障害者保健福祉手帳の2級~3級に該当する人
・身体障害者手帳の3級~6級に該当する人
計算式 控除額=10万円×(85歳-相続開始時の年齢)
特別障害者
対象者 ・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人
・重度の知的障害がある人
・精神障害者保健福祉手帳の1級に該当する人
・身体障害者手帳の1級~2級に該当する人
計算式 控除額=20万円×(85歳-相続開始時の年齢)

この控除も、未成年者控除と同じく相続税額から直接差し引かれます。これらの控除をして相続税額が0円となった場合、相続税の申告は不要となります。

相続税の障害者控除とは?利用要件や控除額の計算方法・必要書類を解説

【参考】遺産と相続税に関するよくある質問

ここでは、われわれ税理士が日頃よく受ける、次のような質問にお答えします。

  1. 相続財産が2,500万円のとき、相続税はいくら?
  2. 相続財産が5,000万円のとき、相続税はいくら?

Q1. 相続財産が2,500万円のとき、相続税はいくら?

相続財産が2,500万円の場合、相続税はかかりません。

これは、相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算され、確実に2,500万円以上差し引けるためです。

遺産2500万円の相続税はいくらかかる?計算方法や相続財産の範囲について

Q2. 相続財産が5,000万円のとき、相続税はいくら?

相続財産が5,000万円の場合は、「誰が相続するか」によって相続税の額は大きく変動します。法定相続人ごとの具体的な金額の目安は、次の表をご参照ください。

法定相続人 相続税の総額の目安
配偶者のみ 0円
配偶者と子供1人 40万円
配偶者と子供2人 10万円
配偶者と子供3人 0円
配偶者と子供4人 0円
子供1人 160万円
子供2人 80万円
子供3人 20万円
子供4人 0円

なお、上の表はすべての相続人が法定相続分どおりに相続して、「配偶者の税額軽減」以外の特定や税額控除は適用しないことを想定しています。実際の状況によって、税額は変動しますのでご注意ください。

相続財産5000万円の相続税はいくら?計算方法や節税方法について

相続税額を正しく把握するには税理士に相談しましょう

図表

――本日はありがとうございました。お話を伺って、正しい相続手続きと損をしない相続税対策をするためには、頼れる専門家にご相談したいと思いました。

相続税の計算は複雑ですし、効果的な相続税対策はご自身が置かれている状況によって異なります。このため、相続税についてお困りのことがあれば、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

初回相談を無料にしている税理士事務所もありますので、ぜひ活用してみてください。

  • プロフィール

  • 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人代表税理士 https://vs-group.jp/sozokuzei/
2006年に古尾谷会計事務所開業。税理士を中心とした士業グループを全国24拠点で展開するベンチャーサポートグループの相続専門部署の代表を務める。VSG相続税理士法人には、税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。VSG相続税理士法人の年間申告件数3,000件以上。

  • プロフィール

  • 仁科 美咲

フリーアナウンサー
大学を卒業後、「U字工事のLet'sかるたビーノ」「ふるさと宮まつり生中継」数々の番組のリポーターやアシスタントを経験。とちぎテレビ「おはようとちぎの朝」ではキャスターも経験。現在は情報番組のリポーターとして活躍中。場所や人を輝かせるプレゼンテーションを得意とすることから講師としても歩みを始めている。

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【出典元】
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