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 第2次世界大戦後、旧ソ連に対抗してできた米国と西欧の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)が今年で設立70年となり、記念の首脳会議が3日、ロンドンで始まった。東西冷戦終結後は、加盟国域外のテロ対策などに役割を見いだしてきたが、最近、NATOのあり方をめぐる首脳間の溝があらわになっている。

 首脳会議の全体会議は4日に開かれる。3日は各首脳間の会談があったが、70周年の祝賀ムードは消し飛んでいた。

 焦点の一つは、NATOが加盟各国に積み増しを求めてきた軍事予算だ。

 「あなたのリーダーシップは軍事費問題に大きな影響を及ぼした」

 NATOの事務方トップ・ストルテンベルグ事務総長は3日朝、トランプ米大統領と会談、各国に拠出増額のプレッシャーをかけているトランプ氏を持ち上げた。トランプ氏は「大統領就任時はNATOに怒りがあったが、私自身が1300億ドル増額した」と自画自賛で応じた。

 冷戦終結から30年を経て加盟国間の結束が大きく揺らいでいる。きっかけは2017年のトランプ氏の米大統領就任だ。米国の負担が突出する軍事費について強い不満を示し、米メディアによると、NATO離脱すらちらつかせた。創立以来NATOを主導してきた米国の変化に、欧州の加盟国は動揺した。

 今年に入って、中東諸国とかかわりが深いトルコもNATOへの不満を表明。エルドアン大統領は隣国シリアの内戦への介入に「NATOは少しも動かない」と怒りをあらわにし、NATOと緊張関係にあるロシア製の地対空ミサイルシステムを購入するなど、揺さぶりをかける。

 各国の姿勢に隔たりがある状況について、フランスのマクロン大統領は11月、英誌の取材に「NATOは脳死状態」と発言。反NATOとも受け取れる発言が、加盟国の間に新たな波紋を起こした。

 トランプ氏は3日、この発言について「非常に侮辱的」「とても不快だ」と強く非難。その後にあったマクロン氏との会談の席では、加盟各国の軍事費増額は「十分ではない」とたたみかけた。

 マクロン氏は「NATOを語るには、お金のことだけでなく、我々の兵士に敬意を表さなければならない」などと反論。両者の溝を改めて印象づけた。

 トルコとのわだかまりの解消を図って、マクロン氏と英国のジョンソン首相、ドイツのメルケル首相は3日、エルドアン氏と会談。その後、マクロン氏は「意見の相違はあるが、協議はできる」と述べ、関係の修復に期待も示した。

 全体会議を前に、首脳会議は早くも波乱ぶくみとなっている。(ロンドン=津阪直樹、渡辺丘、園田耕司)

■ロンドンで反トランプ・反NA…

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