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 身近な存在だった郵便局員の勧誘で、多くの高齢客が不利な乗り換え契約をさせられていたかんぽ生命の不正販売問題。横行する不正を郵政経営陣はなぜ自ら止められなかったのか。今年3月に公表された特別調査委員会の「追加報告書」をもとに取材を重ねると、経営陣が不正と向き合い、それをただすべきだった「3度の機会」があったことが浮かび上がってきた。

 「悪質な事案が金融庁に見つかれば、グループ全体の信用が低下する。危機感をもって対応する必要がある」

 そんな声が出たのは2016年10月18日、かんぽ生命保険の石井雅実社長(当時)と保険販売を請け負う日本郵便の横山邦男社長(当時)との社内会議でのことだった。

 のちに大量の不正販売が判明するかんぽはこのころ、保険契約に関する苦情が急増し、対応に頭を抱えていた。苦情件数は14~15年度に年39万件を超え、11年度比で倍以上に膨らんでいた。

拡大する写真・図版郵政3社の上場を祝う東京証券取引所でのセレモニー。同時期にかんぽ生命への苦情は急増していた=2015年11月4日、東京都中央区、諫山卓弥撮影

 16年5月施行の改正保険業法で、顧客の意向を確認しながら勧誘や契約を進める義務が保険会社と保険を売る募集人に課せられ、金融庁は生保の乗り換え契約の実態に厳しい視線を注いでいた。損保ジャパン出身の石井氏はそうした情報もつかみながら、「金融庁の検査を受けることも念頭に対応していく」などと改善策を講じる意向を日本郵便側に伝えていた。

幻の不正防止策

 その言葉通り、16年11月中旬には、石井氏の意を受けたかんぽ副社長(当時)らが、不正撲滅に向けた対策素案を策定。顧客を保護する有利な契約への転換制度の導入や乗り換えに関わる判定基準の見直し、事前・事後のチェック態勢の強化などを盛り込んだ。解約と契約が何度も繰り返される事案に悪質な営業が埋もれているとみて、詳しく調べるべき顧客リストもつくった。

 このときの素案について、不正…

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