——パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社の取り組み
渡辺久美子さん
人事部 人事企画課 課長
油田さなえさん
人事部 ダイバーシティ推進課 主事
佐藤真理さん
(写真左から)

女性比率が高まってきたパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社(以下、PSSJ)。妊活支援制度の導入や普及に尽力する油田さなえさん・渡辺久美子さん・佐藤真理さんにお話を伺いました。
妊活支援のための3つの制度
パナソニック株式会社とPSSJの共通の妊活支援制度としては、「チャイルドプラン休業制度」と「ファミリーサポート休暇制度」があります。
「チャイルドプラン休業制度」は、不妊治療に専念するために1回に30日以上、在職中に通算で365日までお休みがとれる制度です。この期間は無給となりますが、30日以上を複数回に分けて取得することも可能です。
「ファミリーサポート休暇制度」は、通常の年次有給休暇とは別に配偶者の出産、家族の看護、子供の学校行事への参加、不妊治療といった目的ごとに年5日までお休みがとれる制度です。年間に取得したファミリーサポート休暇のうち、2日は有給扱い、これを超える日数は公休扱いになります。
それに加えPSSJでは、「カフェテリアポイント制度」という、旅行、英会話などの習い事、貯蓄等、自分の好きなことに年8万ポイント(8万円相当)を使える制度の対象として、2019年度から奨学金の返済、子どもの入学費用、そして不妊治療を支援するメニューを加えました。
これら3つの制度は、男女関係なく取得が可能です。
上記3つの制度のうち2つは“休む”ことが主体ですが、「カフェテリアポイント制度」によって休暇取得制度に治療費用も加わり、支援の幅が広がります。不妊治療に多額のお金がかかることは、従業員や労働組合からの声としても多く聞いていました。しかしながら、不妊治療の対象者だけに限定した支援制度を設立するのはまだ難しい状況です。第一ステップとして、今あるカフェテリアポイントを不妊治療費用の補助として使えるようにできないかということで、今年度から導入を開始しました。
利用者のニーズに合わせて選択肢を用意
「チャイルドプラン休業制度」や不妊治療を理由として「ファミリーサポート休暇制度」を利用した方は、ここ10年間で延べ十数名います。
実際に利用者の声を聞くと、制度に求めるものは人それぞれという印象です。
A子さんの場合:上司や同僚に相談して、不妊治療で妊娠・出産した女性社員
不妊治療をする中で辛かったのは、体調に合わせた通院が必要になるため、突発的に休まねばならなかったこと。
不妊治療を始めた当初は月1回の周期に合わせた通院が主体だったので、フレックスタイムや年休・半休を使っていた。その後、ステップアップしていくと、通院の頻度を上げる必要が出てきたので、既に伝えていた上司に加え、一緒に仕事をしている同僚にも伝えた。
もし妊娠できなければ、チャイルドプラン休業制度を利用してしっかり休もうと決めていたが、幸い妊娠したので、利用することはなかった。2人目以降のことも考えており、そのときはテレワークを活用したいと思っている。
B子さんの場合:上司や同僚に相談せず、不妊治療を行った女性社員
上司には不妊治療のことを話さず、フレックスタイム・年休・半休を使って通院していた。
チャイルドプラン休業制度の必要性は感じなかった。不妊治療という理由で休むと、妊娠しなかったときに戻りづらくなるのではと懸念していた。また、この制度を利用すると最低でも30日以上休むことになり、その間は無給になる。不妊治療の場合、毎日通院するわけではなく、それ以外は仕事ができるので、長期の休業は必要ないと考えていた。
上司の理解のもと制度を利用している人もいれば、不妊治療をしていることを上司や同僚たちに知られたくないという人もいます。不妊治療をしながら働き方を選べる制度はある程度整っており、選択肢もあります。個々の性格や状況、仕事の負荷などを考えて、ご本人に合った制度を選んで不妊治療に臨んでいただきたいですし、人事部としてもそれをできるかぎりサポートしていきたいと考えています。
妊活支援制度の推進、上司の理解が不可欠
不妊治療やその支援制度について知ってもらうためには、上司や職場側の理解が不可欠だと考えています。2019年3月、妊活や不妊治療に関する理解を深めてもらおうと、メルクバイオファーマ社から専門家を招いて「妊活セミナー」を開催しました。まずは興味のある社員に気軽に参加してもらおうと対象を決めなかったのですが、男女とも20代後半から30代社員を中心に参加してもらえました。セミナー参加者からは、「初めて知ることがたくさんあり、多くの気づきにつながった」「より多くの人が、不妊や妊活を『自分事』としてとらえてほしい」「若手・ベテラン問わず、知識として知るべき」といった感想がありました。
現状、全社員に不妊治療や妊活支援制度のことが周知されているとはいえません。利用する側も、妊娠したいと考えたタイミングで初めて会社にどんな制度があるか調べることが多いようです。育児にもほとんど関わってこなかった上司の世代だとなおさら不妊治療については何も知らない可能性が高いといえます。「不妊治療をしている」と部下から伝えられたときに、不妊治療について理解していればいろいろ配慮できますが、何も知らないと「急に休まれても困る」などという対応になりかねません。
人事部としては、制度の周知活動に加え、上司や職場の理解を促進することも重要だと考えており、今後の取り組みを検討しているところです。

PSSJでは昨年、男性の育児休業取得を推進するために大きな改革を行いました。子どもが生まれた男性社員全員が育休を取得できるよう、職場(上司)に義務付けたのです。最低でも2週間。育休は原則無給ですが、本人が取得しやすいように、開始から1か月間は有給扱いとするルール変更も行いました。以前から、男女ともに取得可能な育児休業制度があったにもかかわらず、男性の育休取得はゼロでしたが、この1年で一気に増えました。2019年4月以降に子どもが誕生した16人(8月末時点)には、取得に向けた面談を上司に徹底し、すでに6人が育休を取得しています。これまで男性の育休にほとんど関心がなかった上司たちも、今回の改訂で育休に目を向ける第一歩になりました。この流れの中で、育児の前段階である妊活や不妊治療にも理解が広がり、妊活支援制度を推進するきっかけになっていければと願っています。






























