「ファミリーフレンドリー」は、
企業の取り組みから
2024.05.24
パーソルキャリア株式会社
DEI推進部DEI人事推進グループ ゼネラルマネジャー 
吉岡智明さん
加藤杏奈さん
(写真左から)

妊娠や出産、子育てだけではなく、介護やスキルアップのための休職など、自分らしい人生を歩みながら、お互いのライフステージの変化、多様なライフプランを受け入れていく――。
多様性が重要視されるようになった現在、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン。以下、パーソルキャリア社内の表現にあわせ、DEIと記載)の実現のために、企業の理解や働きかけが求められています。特に女性は、ライフステージによって生じる健康課題に対処する必要もあり、「女性の健康支援」は企業にとっても避けて通れない課題です。

メルクでは、2015年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で提唱された、各国政府や企業、NGO、また患者支援団体や患者グループなどが連携して働く女性の健康増進を図る取り組みである「Healthy Woman Healthy Economies」に賛同。また日本国内では「YELLOW SPHERE PROJECT(YSP)」として、「妊活/子育てに関する意識と実態調査」などの調査発表や、や性教育、生殖教育の学び直しコンテンツの発信など、情報を提供し、妊活サポートの輪を広げています。YSPは企業や組織の垣根を越えた幅広い活動ですが、この輪をさらに広げ、ともに協力して、一人ひとりが柔軟に働き生きていくことが可能になる「ファミリーフレンドリーな社会」の構築のために、企業は、社会は、今どのような取り組みをしているのでしょうか。人材サービス業のパーソルキャリア株式会社の取り組みを紹介します。

「女性の健康課題」を解決することは、
企業にとってもメリット

女性の月経不調よる労働損失は年間4,911億円、更年期離職による経済損失は男女合わせて6,300億円とされています(※1)。こうした課題を解決することは、単純に「働きやすい環境をつくる」という意味だけでなく、企業の生産性を高めることにつながります。現在多くの企業が、女性向け、また管理職向けに女性特有の症状(生理痛・PMSなど)を理解するための啓発活動を行っており、人材サービス企業であるパーソルキャリア株式会社でも、セミナーを実施するだけでなく、パーソルグループ全社横断のコミュニティ「ヘルスリテラシー部」の部活動のサポートを実施し、セミナーやワークショップを開催しています。生理痛・PMSだけでなく、妊活・不妊治療に関する内容も盛り込まれ、女性のライフステージに寄り添った知識の普及を図っています。

では具体的に、パーソルキャリアの人事制度や取り組み・活動を見ていきましょう。

(※1)NHK「更年期と仕事に関する資料2021」
https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic042.html

「自分で決めること」は
幸福度やキャリアに対する自信につながる

2019年「はたらいて、笑おう。」がパーソルグループのビジョンとなった際、パーソルキャリアのミッション「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」が制定されました。キャリアの選択肢が多様化し、それぞれの価値観をもとにはたらき方を考えやすくなった現在において、「自分で決めること」は幸福度やキャリアに対する自信に寄与します。パーソルキャリアでは、社員のキャリアオーナーシップ(※2)を育む取り組みの一環として、自分らしいキャリアをデザインできる「i-design制度」というキャリア面談を実施し、定期的に上司と対話し、やりたいこと(Will)、できること(Can)、やるべきこと(Must)を接続させ、ライフステージにあわせた自分らしいキャリアをデザインできるよう支援しています。その他にも、自律的な学びやキャリア選択のきっかけを得るためにグループ内他部署の仕事を体験できる「ジョブトライアル」や、社内およびグループ内のオープンポジションに対して自発的に異動希望を出すことができる公募型異動制度「キャリアチャレンジ」を実施しています。

またはたらき方の点では「時間や場所または身体の仕組み上受ける制限をなくしていくこと」に注力して取り組んでいます。例えば「制限のあるはたらき方理解研修」では、管理職が育児による時短勤務の疑似体験・時短勤務者とのディスカッションを通して、時間に制限のあるはたらき方を理解し、行動変容することを目指しています。「育休ウェルカムバック制度」では、育休中の社員が、法的条件を満たす範囲での就労を一時的・臨時的に行うことができ、社会・会社・同じ育休中の社員とのつながりを醸成することや、仕事の感覚を取り戻すことで不安感を軽減して、スムーズな復職を支援することを目指しています。

加えて近年は「ヘルスリテラシー向上」施策として、セミナーの実施・相談窓口の設置・メールマガジンの配信などの情報インプットを実施することで、主に女性の身体に起こる不調への理解・サポートを広げる活動も実施しています。他にも管理職と上位グレードのメンバーを中心に実施している「アンコンシャスバイアス研修」、女性上級管理職向けに実施している「スポンサーシッププログラム」、メンバーへのキャリア支援として実施している「女性管理職との座談会」や「課題解決スキル・スタンス研修」など、多様な社員の活躍をサポートするための実施施策は多岐にわたっています。

(※2)キャリアオーナーシップとは、「個人が自分の『キャリア』に対して、主体的に(つまりオーナーシップを持って)取り組む意識と行動」のこと。

DEI推進部主催の研修風景。社員一人ひとりが自分らしいキャリアを考える機会になるよう、ダイバーシティの推進についてさまざまなテーマで社内ワークショップや研修を実施している。

誰にとっても選択肢があり、はたらきがいのある状態をつくる
誰もが生きやすくなる社会に向けて

現在は女性に特化した施策が先行していますが、時間や場所の制限、身体の仕組み上受ける制限など、あらゆる制限を極力なくしていくことで、一人ひとりのパフォーマンスを最大限に発揮できる環境作りを重視しています。女性に限らず、障害のある方や外国人の方も、誰にとっても選択肢があり、はたらきがいのある状態をつくる。その第一歩として、女性のはたらく環境を整え、機会の公平をつくっていきたいというのが、パーソルグループの「女性活躍推進」に関する根本の考え方です。社員がキャリアオーナーシップを醸成するための大切な土台として、DEIの推進は必須で、社員への調査でも、約8割がDEIの取り組みを必要と感じ、推進に対して共感していると回答しています。取り組んでいる施策の参加者は徐々に増加しており、社員の意識も変わってきていると感じています。事業部ごとに異なる課題を感じている現状に対しては、それぞれの代表者とともに行動計画の作成・進捗確認を行いながら、連携をとってDEIの更なる推進を目指しています。

社員がキャリアオーナーシップを発揮するためには、単に仕事におけるスキルや経験だけを重視するのではなく、彼らを取り巻く家族など、周囲の環境も大切に考える必要があります。はたらきやすい環境を整えることで、社員だけでなく周囲の人達の叶えたい生活や活躍の実現につながり、ひいてはYSPが目指す「ファミリーフレンドリーな社会」に近づくのではないでしょうか。そのような社会の実現に近づくためにも、当社が行っている取り組みを社内にとどめることなく、社会に向けて積極的に発信し、志をともにする企業の皆様などとも連携して、これからもDEIの推進やヘルスリテラシーの向上、社会に対するアプローチを行っていくことができればと考えています。

【パーソルキャリアで実施している主な施策】

残業時間の抑制
2023年度より3年間、毎年残業時間の削減目標を設定し、削減のための施策を行っています。
そのために、具体的にどのような業務を削減するとよいのか、研修を通じて学ぶほか、マネジメント層の役割の見直しや業務量の適正化などを行っていく予定です。
制限のあるはたらき方
理解研修
管理職が、育児による時短勤務の疑似体験を通じて、時間に制限のあるはたらき方を理解する研修です。
時短勤務者とのディスカッションや参加者同士の振り返り会を通じて、理解するだけでなく、行動変容を目指します。
育休ウェルカムバック
制度
育休中の社員が、法的条件を満たす範囲での就労を一時的・臨時的に行うことができます。
社会・会社・同じ育児中社員とのつながりを醸成することや、仕事の感覚を取り戻すことで不安感を軽減して、スムーズな復職を支援することを目的とし、運用を開始しました。
家事育児代行サービス
の利用サポート制度
仕事と家事・育児の両立に悩む、パパ・ママを応援するため、家事・育児代行サービスを利用する際にサポートを受けられる制度です。
サービスを法人価格にて格安で利用できる制度や、月額1万円までの利用料金を補助する制度があります。
FLASH
※3=下図参照
社員の長期就業や持続的成長を支援するため、キャリアプランやライフステージに合わせた柔軟なはたらき方ができるよう、時短・日数限定勤務・休業/休職制度の活用を支える制度です。
複業
通常業務以外に、社外のさまざまな仕事を通じて経験・スキルを身につけてもらい、キャリアアップや本業に役立ててもらう制度です。
定められた就業時間での勤務等、一定のガイドラインを満たした従業員がフローに沿って申請し、承認された複業について、個人事業主等として就業することが可能です。
スポンサーシップ
プログラム
経営層が、女性上級管理職に対し、毎月の1on1を通して直接的にキャリアのサポートをするプログラムです。
アンコンシャス
バイアス研修
多様性を理解・受容し、安心・安全を確保していく上で妨げになっている無意識バイアスを知る研修です。
管理職は原則受講しており、管理職直前層にも拡大して実施中です。
管理職直前層を対象とした
キャリア開発・キャリア
支援施策
「管理職のリアルを知る」ことを目的に、管理職層×非管理職層の座談会や、課題設定スキル研修などを積極的に推進しています。
みんなでDEIを考えるかい
パーソルグループの皆さんと⼀緒に「Diversity, Equity & Inclusion(DEI)」について考えるイベントを、月1回程度実施しています。
育児や介護に関するテーマを扱う回もあり、グループ社員が多様性に関するテーマに合わせた対話と交流を行っています。
DEI Times
DEI全般について、基礎知識からイベントレポート、社員の体現事例まで、さまざまな切り口で紹介する記事を発信しています。
ヘルスリテラシーに関する
イベント
月経による労働損失や更年期離職による経済損失といった社会課題を解消するため、女性向け、管理職向けに女性特有の症状(生理痛・PMSなど)に関するセミナーを実施しています。
社員が自主的に活動する
コミュニティのサポート
パーソルキャリアのメンバーをはじめとするパーソルグループ横断のコミュニティ「ヘルスリテラシー部」の部活動のサポートを実施しています。生理痛・PMSや妊活・不妊治療に関するセミナーやワークショップを開催。※妊活・不妊治療に関するセミナーは、メルクバイオファーマ社が協力。

※3=FLASHとは

Family
育児・介護・不妊治療

育児や家族の介護が必要な方、不妊治療中の方を対象とするものです。育児時短勤務は、お子さんが中学校就学前まで適用可能です。育児休業は最長で子が2歳になるまで、介護休業・不妊治療休職は最長1年取得できます。

Learning
進学・留学

仕事の成果につながる勉強やインプットをしたいと考えている社員のための時短・休職制度。対象者要件を満たせば時短勤務あるいは最長2年間の休職が可能。
留学・通学など、スキルアップ期間として活用できます。

Avocation
趣味・余暇活動

勤続年数の長い社員のうち、趣味や余暇活動に時間を割きたい社員や、リフレッシュしたい社員向けの時短・休職制度。対象者要件を満たせば、理由は問わず時短勤務あるいは最長1年間の休職が可能です。

Social
地域活動・社会活動

仕事の成果につながる勉強やインプットをしたいと考えている社員のための時短・休職制度。対象者要件を満たせば時短勤務あるいは最長1年間の休職が可能。留学・通学など、スキルアップ期間として活用できます。

Health
治療・療養

けがや病気などによりやむを得ず休職や就業制限が必要になるケースに適用します。

妊活サポートの輪を広げよう

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Healthy Women, Healthy Economy
「女性の健康と健全な経済」