大分JA元役員、交付金3千万円詐取か 職員らに出荷量水増しを指示

中島健
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 不祥事の続発を機に、大分県農協の不正などの洗い出しをしてきた悉皆(しっかい)調査委員会(委員長・国広正弁護士)は22日、最終報告書をまとめた。役員にあたる経営管理委員だった70代男性が在任時、自分で栽培した麦や大豆の出荷量を水増しするよう職員に指示し、少なくとも交付金約3千万円(推計値)を詐取していたことが明らかになった。県農協は刑事告訴損害賠償請求を検討する。

 報告書などによると、元経営管理委員は北部事業部の二つのライスセンターの責任者だった30代パート男性と40代男性職員に、出荷した大豆と麦の量を水増しするよう指示。2016年から20年までの5年分の国の交付金と、農協への販売代金を詐取した。詐取した額は交付金だけで約3千万円と推計され、販売代金も500万~600万円とみられる。

 指示を受けた2人は、元管理委員が出荷した大豆や大麦などの荷受け重量を改ざんしたり、他の農家が出荷した麦を元管理委員の麦に加えたりして水増しした。謝礼として大豆で年15万~20万円、麦でも6万円から十数万円をそれぞれ受け取っていた。

 また、この40代職員は16年11月から19年12月の4年間、ライスセンターに保管されていたコメを盗んで外部業者に売却し、約160万円を得ていた。

 関与した3人はいずれも事実を認めている。調査委副委員長の宮野勉弁護士によると、元管理委員は「事前申請した転作の収量を達成するため水増しした」と説明しているという。

 国広弁護士は「悪質性が高く重大な事案だ」と指摘。不祥事の要因として、ライスセンターの作業を1人で担当していたことや管理職の監督がなかったこと、記録が手作業で改ざんできた点などを挙げた。

 平間悟理事長は「役員が関与したことや、農作物を預かって事業を行う農協にとって、管理不備に起因して発生した不祥事は事業の根幹を揺るがす事態だと重く受け止めている」と謝罪した。

 県農協によると、17年以降、これまで業務上横領や窃盗など15件の不祥事が発生していた。昨年10月には県から業務改善命令を受け、今年2月に改善計画を提出した。ただ、調査のなかで新たな不祥事が発覚したため、悉皆調査委で未発覚の問題を洗い出していた。(中島健)