
ブロックチェーンって何に使われているの?
ブロックチェーンの基礎をざっくり学ぶ本コーナー。3回目は暗号資産の分野以外のブロックチェーンの活用事例を紹介します。
「データをみんなで記録する非中央集権的な管理」「改ざんが不可能」「不正やエラーが起こっても全体では動き続ける」といった特徴を活かし、ブロックチェーンはさまざまな分野に活用されています。

【サプライチェーン】複数の事業者間のデータ管理を一括して行う
サプライチェーンとは製品やサービスなどが、原料から加工や製造などを経て消費者に届くまでの一連の繋がりのこと。
各段階のデータを各々の事業者が管理していては、当然ながら不正や事故の確率も高まります。サプライチェーンのデータをブロックチェーン上で一括管理することで取引の安全性や、原料や製造工程の透明性を高めることが可能です。

【医療カルテの管理】患者の負担軽減にも繋がる
個人の健康情報はもっとも厳しく管理しなければならない個人情報のひとつ。英国発のブロックチェーンサービス「メディカルチェーン」は、個人の医療情報をブロックチェーン上で管理、活用しようという試みです。
患者本人、医師、病院、研究機関、薬局、保険会社等がブロックチェーンに参加することによって、患者の診療情報が一元的に管理できるというもの。
データのやりとりが容易なので、患者本人の負担が軽くなります。例えば、小さなA医院から紹介されて大きなB病院で受診するといった際に、紹介状の受け渡しが不要になったり、保険の申込みの際に、病歴等を改めて申請する必要がなくなったりします。

【イベント】チケットの転売防止に役立つ
インターネットサービスを総合的に展開するGMOインターネットはイベント等のチケット転売防止のためブロックチェーンを活用する仕組み(ソフトウェア)を提供しています。イベントの興行主、チケットの販売代理店、チケットの購入者、そしてイベント会場がブロックチェーン上で情報をやりとりします。
チケットの購入者が購入手続きをすると、ブロックチェーン上に入場権(※券ではない)が付与されます。その権利は、購入者の端末でのみ、当人の権利であることが証明されます。
チケットの不正転売が問題視されていますが、この仕組みだと、転売を目的とした者が大量にチケットを購入することも難しくなりますね。
選挙やアート作品でも
ブロックチェーンの仕組みはここまで紹介してきたもの以外にもいろいろなところで活用されています。
一般社団法人ブロックチェーン推進協会では、先に行われた協会の理事選挙で、ブロックチェーンを活用した投票システムを採用しました。詳しい記事はこちら。
また、アート作品の著作権の管理や偽造防止にもブロックチェーンは役立てられています。
当然のことながら、ブロックチェーンの活用事例はここで紹介しきれるわけもなく…。今後もインタビューなどを通じてお伝えしていきますので、ご期待ください!
イラスト=加納徳博