【詳報】藤井聡太はこだわらない 野心なく、扇子は替えて?大勝負へ

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北野新太 村瀬信也 佐藤圭司
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 渡辺明名人(39)に藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ六冠=が挑戦している第81期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第4局が22日午前、福岡県飯塚市の麻生大浦荘で前日から指し継がれ、対局2日目を迎えた。

 渡辺名人はタイトルを防衛しての4連覇を、藤井竜王は史上最年少の名人獲得と史上2人目の七冠達成を目指すシリーズ。挑戦者が開幕2連勝した後、名人が1勝を返し、分岐点の一局を迎えた。

 藤井竜王の先手で始まった対局は過去3局を踏襲するように力戦に。1日目は勝負が激流に放たれる直前に封じ手を迎えた。突き放すか、タイに戻すか。七番勝負の行く末を占う意味で極めて重要な2日目になる。

 朝日新聞デジタルでは、将棋界の枠を超えた注目を集める七番勝負の模様をタイムラインで徹底詳報する。

終局後

こだわらない藤井聡太竜王 将棋担当・北野新太の目

 傾いた日の光は縁側のガラス戸を透過し、対局室に注がれている。終局後の感想戦。名人の早い投了のため、勝負の決した現場を自然光が包んでいた。

 名人の肩越しにレンズを向けると、竜王は扇子を口元に当てる動作を繰り返している。多くの棋士が対局に携えるグッズだが、本局の藤井はいつもより手にする時間が長かった。

 考慮に沈んでいる間、手元でくるくると回転させる。時々、少しだけ開閉してぱたぱたと音を鳴らす。けれども、フルオープンしてあおぐことはほとんどない。デビュー以来、藤井の扇子の扱いは変わっていない。

 大きく開かれることがないため、どんな揮毫(きごう)が入った扇子なのかは判別できない。過去に自ら昇段した際の記念扇子を使うことが多いとは知っていたが、どうなのだろうか。

 感想戦終了後、わずかな時間に立ち話で聞くとニコニコしながら教えてくれた。

バッグ、時計、スマホ、そして盤上……。藤井聡太竜王に局後に話を聞いた北野記者は、こう問いかけます。「ということは、こだわらないということにも、こだわらないのですか」と。藤井竜王の答えに、生き方や人柄がにじみます。

 「七段の時に書いた『飛翔(…

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