マリウポリ郊外に大規模な集団墓地、衛星で確認 戦争犯罪を隠滅か

ウクライナ情勢

ワシントン=高野遼
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 ウクライナ南東部マリウポリの郊外で、集団墓地とみられる穴が3月下旬に大量に掘られていたことが、最新の衛星写真から判明した。マリウポリ市当局は21日、同市で死亡した多くの遺体がロシア軍によって埋められている可能性があると発表。「戦争犯罪の証拠を隠滅している」との批判も出ている。

マリウポリ西方の村の変化が、スライド写真で確認できます。記事下へ

 米宇宙企業マクサー・テクノロジーズが21日、衛星写真を公開した。4月3日に撮影された写真では、道路に沿って多くの穴が掘られていることが確認できる。穴は約340メートルにわたり直線的に並び、200個以上に及ぶ。

 衛星写真の撮影地点は、マリウポリから西方に20キロほど離れたマンフシュと呼ばれる村。穴が掘られていたのは、既存の墓地に隣り合う土地だという。

 過去の衛星写真を分析すると、これらの穴は3月23~26日に新たに掘り始められ、4月上旬まで2週間ほどかけて拡張された様子が確認されたという。

 マリウポリ市当局は21日、テレグラムに「4月に入ってからロシア軍は毎日新たな穴を掘り、遺体を埋めてきた」「遺体は複数の層になって置かれているとの情報がある」と投稿した。

【スライド写真】白線を左右にスライドすると、変化を確認できます

時系列の写真】

4月3日

3月30日

3月23日

3月19日

 写真はいずれもマクサー・テクノロジーズ提供

 また、首都キーウ(キエフ)近郊ブチャの集団墓地と比較すると20倍ほどの規模とみられ、3千~9千人の遺体を埋めることができる可能性があるとも指摘している。

 アンドリュシチェンコ市長顧問はフェイスブックに「我々はついに、市民の遺体が隠された場所を発見した。まさに衝撃的だ」と投稿し、戦争犯罪の証拠を隠すものだと批判した。

 ボイチェンコ市長は「マリウポリでは21世紀最大の戦争犯罪があった。世界全体から強い反応が求められる」と述べた。同氏によれば、ロシア軍によってマリウポリで殺害された人数は2万2千人にのぼると推計されるという。(ワシントン=高野遼)

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