原発輸出、日本や欧米は中ロに勝てない? SMRの時代は来るのか
◆原発の将来像 ②
岸田政権が、原発の新規建設や60年超運転を認めると盛り込んだ「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定してまもなく1年。原子力・エネルギー政策をめぐる動向について、専門家に4回にわたって解説してもらいます。
2050年までに世界の原発を3倍に増やすという米国主導の宣言には、気候変動対策の観点だけでなく、原発輸出で経済成長に結びつけたいという思惑もある。だが、西側先進国では「失敗」が相次いでいる。初期費用が安いとされる次世代の小型モジュール炉(SMR)で挽回(ばんかい)を図りたい考えだが、果たしてうまくいくのか。鈴木達治郎・長崎大教授(原子力政策)に聞いた。
――原発輸出は現在、ロシアが優勢で、中国も強化を図っていますが、西側諸国は対抗できますか?
インドとの原子力協定を結んだが、米国と日本のチームは結局、1基も輸出できていない。フランスも結局失敗した。アラブ首長国連邦(UAE)は韓国が最終的には成功した。サウジアラビアには韓国と米国が輸出しようとしているが、これもどうなるかわからない。中国がとるかもしれない。
まず、輸出市場での競争力は一言で言えば、国の政治的なリーダーシップ。リーダーシップは何かというと、現実には国がどれだけ支援するかという覚悟が必要ということ。
UAEも韓国がすごく安くした。しかも韓国は原発を建設するだけでなく運転にもかかわるので、事故が起きたら韓国が一部補償することになった。UAEにとってはよい条件になったわけで、それぐらいやらないとなかなか売れない。
インドで売れない理由の一つは、インドの原子力災害補償制度が原発メーカーにも責任が波及するようになっているので、メーカーがおじけてしまったところがある。過去の実績や現状を見る限り、西側はすごい不利な状況にある。よほど何か変えなければいけない。
だから、国際金融機関の世界銀行に支援してほしいとか言い出している。原発の輸出は、いわゆる純粋にふつうの商品の輸出みたいには売れないので、政府がどれだけコミットできるかにかかっている。
――ほかにも課題はありますか?
原発輸出は(燃料をつくるためのウランの)濃縮サービスと一緒に売れれば、影響力を強く行使できるが、こちらもロシアの国際競争力が非常に強く、西側は弱い。
米国の濃縮会社はいまはほとんど機能していない。西側は(英国、オランダ、ドイツが設立した)ウレンコとフランスのユーロディフしかなく、どれだけシェアを伸ばせるか。
ウクライナ戦争をきっかけに、濃縮サービスのロシア依存度を下げようという動きが世界中に出てきているので、ウレンコやユーロディフに流れるかもしれないし、米国の濃縮会社が立ち上げられるかもしれない。濃縮サービスを供給できれば、二国間協定で核不拡散のコントロールが一応きく。原発輸出できなくても濃縮市場をしっかり取るという手もあるかもしれない。
ロシアは使用済み燃料の引き取りも売りにしている。使用済み燃料の処分について考える必要がないので、新たに導入する国は非常に助かりありがたく思っているが、米国はいままでやったことがない。むしろ、逆に引き取った使用済み燃料を再処理しないようにロシアに圧力をかけてきた。
引き取りを米国も、西側諸国もやるようになれば、ロシアと競争できるかもしれないし、核不拡散上もメリットがある。
建設費が3倍に膨れあがったEPR
いずれにしても一言で言えば、輸出市場で西側諸国の競争力はいまは非常に弱い。フランスがフィンランドにつくった新型炉の「EPR」は建設費が3倍ぐらいに膨れあがった。
――どうして、西側先進国で原発輸出の失敗が相次ぐのでしょうか。
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