アニメから日本語、文化交流…亡くなった韓国人留学生の思い継ぐ若者
25年前、JR山手線の新大久保駅でホームから転落した見知らぬ日本人を救おうとして、留学生の韓国人男性が命を落としました。「日韓の架け橋になりたい」と願った男性の遺志を引き継ごうと事故の翌年に始まった、将来の両国の交流を担う韓国の高校生が日本を訪れる研修が25回目を迎えました。(withnews編集部・山野拓郎)
ホームから転落した人の救助を試み
事故は2001年1月26日午後7時15分ごろ、JR山手線新大久保駅で起きました。線路に転落した男性を助けようと、居合わせた留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さん(当時26)とフォトグラファーの関根史郎さん(当時47)が線路に下り、電車にはねられました。
李さんは、「日本の文化と言葉を学びたい」と大学を休学して来日し、都内の日本語学校に通っていました。事故後、李さんの両親のもとには日本中から見舞金が寄せられ、日本で学ぶアジアの留学生に奨学金を支給する団体が創設されました。
李さんの遺志を継ぎ、留学生の支援を続ける李さんの両親らを追ったドキュメンタリー映画「かけはし」も制作されました。新大久保駅の階段には、2人の行動を後世に伝える顕彰碑が設置されています。
日本を訪れた韓国の若者たち
ことし1月下旬、「李秀賢氏記念韓国青少年訪日研修」の一団が、李さんの母校である赤門会日本語学校を訪れました。韓国の高校生たちが学校のロビーに並べられた李さんの名誉卒業証書や日本の若者から贈られた寄せ書きの色紙などに真剣な表情で見入っていました。
赤門会日本語学校理事長の新井時賛(ときよし)さんは、「彼の勇気ある行動と精神を学んでほしい。日韓の架け橋になりたいと願った彼の思いを受け継いでもらいたい」と若者たちに語りかけました。
高校生は、国際交流基金が実施した研修で来日しました。国際交流基金は、事故をきっかけに、将来の日韓交流を担う韓国の高校生を対象とする研修を始めました。事業は2002年に始まり、これまでの参加者は約500人になるそうです。
研修をきっかけに、より一層日本に関わりたいと考えるようになったという参加者も多いそうで、日本に留学した人や、日本で就職した人も出ています。研修を経験した人の多くが、両国の架け橋として活躍しています。
日本に来て感じたことは
今回の参加者は、日本に関心を持ち、韓国で日本語を学んでいるそうです。日本の高校生や大学生との交流を通じて、日本文化や社会への理解を深め、将来の日韓関係について若者の視点から考えようというミッションを持って来日しました。
東京では、事故後に造られた「李秀賢記念公園」や新大久保駅も訪れました。
李さんの足跡をたどる中で、高校生たちはどんなことを感じたのでしょうか。
ヨ・ウジュさん(16)は、「李さんの勇気と行動に学び、自分が両国関係の未来にどんな役割を果たせるのか考えていきたいと思います」と話しました。
ハ・ジヒョンさん(17)は、「世界平和のためにはまずはアジアの平和が大事で、それには日本と韓国の関係が大事だと思います。今は日本の大衆文化が韓国の若者の中で人気があります。日本でも、韓国のドラマやKポップが人気だと聞きました。そうした文化を通じた交流がずっと続けられたらいい関係になれると思います」と語りました。
今回の研修で日本に触れたことをきっかけに、夢への思いを強くしたという生徒もいました。
パク・ウォンビンさん(18)は、日本のアニメが好きになったことをきっかけに、日本語を学びはじめたそうです。今回の訪日で秋葉原に足を運び、アニメファンの多さに圧倒されたといいます。
「こんなにアニメが好きな人がたくさんいるなら、私がアニメを作ってみんなが見てくれたら、それも架け橋にできるのではないかと思いました。架け橋のようなアニメを作って、日本と韓国、そして他の国も、みんなをつなぐようなアニメを作れたらと思っています」と夢を語りました。
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