文化財復旧、手つかずのまま 家康ゆかりの寺に土砂 台風15号

山崎琢也
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 台風15号では、静岡県内の文化財にも多くの被害が出た。文化財の復旧には事前の準備や調整が必要で、多くが本格的な復旧工事に着手できていない。自力では多額の費用を賄えないとして、国や自治体の支援を望む声も上がる。

 「文化財がめちゃくちゃになってしまった」

 静岡市清水区にある清見寺の一條文昭住職はそう言ってため息をついた。

 7世紀後半の創建と伝わる同寺は、今川氏の人質だった幼少期の徳川家康が学び、朝鮮王朝から来た外交使節団「朝鮮通信使」も宿泊した寺として知られる。

 台風15号では裏山から土砂が流れ込み、白砂で造られた国指定名勝の庭園が土に埋まった。市指定文化財の書院の床下にも土砂が入り、建物の一部が破損したという。

 寺は復旧に向け、文化庁や市とやりとりを重ねているが、被災から1カ月以上が経つ今も、手が付けられていない。庭園や書院は寺の奥まった場所にあり、重機が使えないという。一條住職は「家や道路など、緊急性の高い工事が終わるまでは手が付けられないのではないか」と話す。

 費用面も課題だ。庭園の復旧だけでも数千万円の費用が見積もられているといい、一條住職は「寺が自力でなんとかできる額ではない」と語る。国などから復旧費用の一部に補助が出るが、「どの程度の負担になるのかも見えない」と頭を抱える。

 家康ゆかりの寺には、全国から観光客が訪れるという。一條住職は「せっかく足を運んでくれた人をがっかりさせないよう、復旧についてできる限りのことはしたい。大切に守ってきた文化財なので、国や自治体にも協力してもらえれば」と話す。

 県文化財課によると、今回の台風15号による文化財の被害は、少なくとも計21件(国指定17件、県指定4件)確認されており、ほかに県指定文化財2件で影響が出ているという。文化財の復旧は原状回復が原則で、適切な工法などを協議、検討する必要があるといい、被害を受けた文化財の多くはまだ応急的な処置にとどまっているという。

 県の担当者は「文化財として適正な形で残していく必要があり、どうしても工事までに時間を要する」と話し、年度内には復旧工事のめどをつけたいとしている。

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