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第6回取り消された90代父親の成年後見 診断書「訂正」の謎 娘が告発

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編集委員・森下香枝
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 認知症などで判断能力が低下した人に代わり、別の人が財産などを管理する成年後見制度。自治体の権限で後見を申し立てる「首長申し立て」をめぐり、行政と家族がトラブルになるケースが相次いでいる。

 裁判所の資料や関係者への取材によると、2022年3月、東京都港区マンションに1人で住んでいた90代の男性が、埼玉県内の病院に運ばれた。本人の意思や救急搬送ではなく、市区町村長の権限で強制的に入院させられる「医療保護入院」だった。

 首都圏に住む娘がそのことを知らされたのは約2カ月後だった。港区から「認知症で父親の判断能力が低下しており、(略)本人に代わって金銭や福祉サービスの管理を行う成年後見人を選任する必要がある」などと記した書面が届いた。

 知らせに驚いた娘は、すぐに父の居住地に近い港区の総合支所の担当職員に連絡。「成年後見の申し立ては必要があれば、こちらでするから、本人の居場所を教えてほしい」と申し出た。

教えてもらえない父の居場所 片っ端から電話

 ところが、父の入院先をいくら尋ねても、担当職員は「個人情報」を理由に教えてくれなかった。

 家族が虐待した疑いがある場合、本人を保護するため、行政権限で病院や施設に「隔離」する行政措置はある。だが、娘は既婚で父と離れて暮らしていた。

 娘は、入院先を自力で突きとめようと首都圏の病院や高齢者施設に100件以上、片っ端から電話をかけた。22年7月にようやく突き止め、埼玉の病院に会いに行こうとすると面会を拒否された。

 弁護士であれば病院は面会拒否できないと知り、交渉の末に弁護士と一緒に訪れると、病院には港区職員も待機していたという。

 父と面会した弁護士は「お父さんは認知症や精神障害があるように見えない。記憶もしっかりしている。娘さんに会いたがっている」と話した。

 娘とも面会した父は、その日のうちに退院した。

 しかし、これで解決とはならなかった。

 港区はこの時点ですでに東京家裁に対し、成年後見を開始するための申し立てを行っていたのだ。身寄りがなかったり、家族から虐待を受けている疑いがあったりする人を対象に、市区町村長の権限で成年後見を申し立てる「首長申し立て」によるものだった。

 娘は父の入院を知ってから、区に対して弁護士を通じて書面を送り、「首長申し立ては絶対しないでほしい」と要請していたが、聞き入れられなかった。

 しかも、港区が6月に行った申し立ては「後見相当」。判断能力に応じて「補助相当」「保佐相当」「後見相当」と3段階ある中で最も重いもので、財産などを管理する能力が完全に欠けているとみなされていた。父が強制入院させられた病院の担当医が書いた「アルツハイマー型認知症」という診断書をもとに区が申し立てをしていた。

 実際の様子はどうだったのか。退院した父は、排泄(はいせつ)や入浴はもちろん、食事や買い物なども1人ででき、何の支障もなく日常生活を送っていた。

 ところが、東京家裁は同年9月末、鑑定医による鑑定後、港区の申し立て通り、「後見相当」で後見開始を認めた。

 なぜ、実態とかけはなれた成年後見手続きが進められてしまったのか。

家族が望まない成年後見がついた根拠となったのは、担当医が書いた診断書でした。そこに記されていた謎の「訂正」をめぐって事態はさらに迷走していきます。こうしたトラブルについて、港区長が調査に乗り出すと表明しました

 納得がいかない娘は翌月、家…

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この記事を書いた人
森下香枝
編集委員|ここからTIMES編集長
専門・関心分野
終活、中高年のセカンドライフ、事件など

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