自民党総裁選が4日に投開票される。投票権は国会議員と約100万人の党員・党友に限られる党内イベントだが、少数与党の状況もあってか、自民党はメディアを通じて一般世論に耳を傾ける姿勢を演出しているようにも見える。ただ、それが裏目に出ていると語るのは、政治とメディアの関係に詳しい慶応義塾大の津田正太郎教授だ。話を聞いた。(聞き手・平賀拓史)
――総裁選は、自民党員・党友でなければ参加できない選挙です
実質的に次の首相を決める選挙ということで、メディアは追いかけざるを得ない。米大統領選も日本人は参加していない選挙だが、国際的・社会的な影響の大きさから日本でも逐一報道されてきている。
その事情を自民側も利用し、「無料の宣伝」の場としてきたことは間違いない。一般には無名だった政治家でも、総裁選に出ることでコンスタントな露出の場を得ることができ、認知度の向上につながる。知名度の高い政治家を多く抱えるほど、政党の好意的なイメージは強まる。このプラットフォームとして「安心」だというイメージが、自民の強さにつながってきた。旧民主党系政党が離合集散を繰り返したことが不安材料として受け止められてきたのとは対照的だ。
政権交代の可能性が低い中、疑似的な政権交代の場である総裁選が繰り返し大きく報道されることで、実際の投票行動には派閥の論理が大きく作用しているのにもかかわらず、政権交代に自らが立ち会っているような錯覚を国民に与えていたともいえる。
――今回の総裁選は、自公連立が少数与党となった状況で、党員・党友の投票も含む「フルスペック」の形式で行われました
自民党の弱体化という長期的なトレンドのなかで、オープンな姿勢を見せて広く世論の声を聞きます、というポーズを取らざるを得なかったのだろう。一般の世論とは別の論理で動くアンフェアな構造のように見えていた従来の総裁選とは異なり、一般の世論への配慮が生まれたともいえる。
しかし、今回の総裁選ではそれが裏目に出てしまっている。小泉進次郎氏陣営のネット討論会での「やらせ」疑惑はたちまち話題が大きくなり、自民党というプラットフォームそのものの信頼を損ねる事態にまで発展した。総裁選において、政策論争以前のスキャンダル的な要素が前面に出てきている。
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