
長生きがリスクになる社会へ向かって
これからの時代の担い手となる「80年代生まれ」のリアルを知るために、START!編集部は今年1月、ウェブマガジン「EL BORDE(エル・ボルデ)」とともに、読者アンケートを実施しました。
この世代を取り巻く「リスク」「チャンス」「ハッピー」について全国の80年代生まれ588人に聞いたところ、さまざま意見が集まりました。
この結果をもとにした連載「充実した人生を送るための6つのヒント」を、START!とEL BORDEでそれぞれ掲載していきます。第一弾は、80年代生まれが抱える「リスク」についてです。
リスクの底に潜むものは何なのか
「あなたのキャリアや人生設計にとって『リスク』だと思う世の中の変化は?」という質問に対する上位三つの回答(複数回答可)は、①年金不安(69.6%)、②高齢化(63.9%)、③少子化(56.5%)でした。
家計の見直し相談センター代表でファイナンシャルプランナーの藤川太さんは、このように分析します。
「80年代生まれが考えるリスクは、いずれもわが国の社会保障への不安につながっていると考えられます。特にこの三つは医療や介護にも行き着く深刻な問題です」
「今後は人生100年時代と言われるように、平均余命の延びが予想されます。80年代に生まれた方だけではありませんが、長生きに対する見方が昔とは変わっています。昔は、長生きは『いいこと、すばらしいこと』でした。ところが現在はこのアンケート結果のように『リスク、不安』になってきています。それは社会保障への不信が根源であり、ずるずると終わりの見えない社会保障の縮小が原因となっているようです」
アンケートの自由回答欄にも、このような意見がありました。
- 社会保険料の増大がどれほどになるか、予想もつかない(女性・38歳)
- 高齢者が増加し、福祉施設も入りづらくなり、在宅での介護にも限界がある。医療現場で現状をみているが、先々が不安になる(女性・35歳)
- 老後年金だけでは食べていけなく、定年したあとも仕事をみつけなければこのままでは子供や生活保護などに頼ることになりそう(男性・34歳)
長寿高齢化によって自分たちが支えなければいけない世代が爆発的に増えることや、年金受給年齢の繰り下げなど自分たちが老後になったときの不安に対するコメントが非常に多くありました。
先行きの見えないなかで、私たちはどのようにリスクに対応していけばよいのでしょうか。藤川さんは三つのアドバイスを提示してくれました。
- できるだけ長く働けるキャリアプランを組む
- 少ない支出でも幸せを感じられるライフスタイルを確立する
- 運用益を得られるよう知識、経験を積む。
「まずは年金が期待できない以上、高齢期まで前向きに働き続けられるようなキャリアプランや健康づくりを考えたいですね。その一方で、固定費を減らしてスリムな家計をつくり、支出にメリハリをつける価値観がより必要になります。お金を使うことでしか幸せを得ることができないなら生活は厳しくなるばかりです。家族や友人といった人と人のつながりにフォーカスすればお金のかからない幸せが得られるかもしれません。また、これからはリスクを取らなければお金は増えない時代。将来は現在以上に、家計にとって運用が重要なスキルになると思います」
不安の根拠はどこに?
80年代生まれが抱える不安を、下の世代はどう見ているのでしょうか。90年生まれの経済評論家・横川楓さんに、今回の結果について伺いました。
「少子高齢化も年金制度の先行きが怪しいことも、悲しいけど現状ではどれも事実で、ゆくゆくは自分たちに降りかかってくる可能性が高いと考えています。最も働き盛りの世代が自分たちの将来に強いマイナスイメージを持っていることは、これからの日本を支える人たちが将来に対して悲観的だということにほかなりません」
「90年生まれの私をはじめ、周囲の同年代も同様の思いを抱いており、とても他人事ではありません。そんな中で生きていく世代だからこそ、しっかりと自分で将来に向き合っていかないといけないと強く思います」
自由回答欄にも
- 年金などの社会的保障に現状全く期待が持てない以上、自分たちの将来・老後の事は全て自分たちで今のうちから賄うしかないと考えている。(女性・31歳)
- 自分たちの世代が老後を迎えるころには、現在の社会保障の制度は崩れていると思うので、老後をストレスなく過ごすために今から貯蓄が必要(男性・32歳)
など、将来の社会保障には期待せず自分の力で対応していくという意見が見られました。
横川さんはこの世代へのヒントとして、ただ悩むだけではなく、自ら動いていく必要性について2点挙げてくれました。
「まずは選挙に必ず行き、政治への関心をもっと持ってほしいと思います。年金、雇用、賃金などの制度を整えるのは政府。しっかりと自分たちの悩みを解決してくれるかどうかに焦点を置いて選挙に参加してほしいです。
また将来のためのお金を、今から自分自身で準備していく必要があります。未来のお金のリスクにしっかり向き合い、自分で資産形成をしていかないといけない時代です。確定拠出年金やつみたてNISAなど、少額から初心者でも始めやすい制度を利用して、老後に安定した生活を送るためのお金を今から作っていくべきだと考えます」
藤川さんと横川さんが共通で指摘するように、80年代生まれが取ることのできる選択肢は、さまざまな点でまだ広いと言えると思います。自分にとって最適なリスク回避手段は何か、じっくりと考えて実行に移すことが重要だと感じました。
次回は「チャンス」について掲載します。
今回お話を伺ったのは
藤川太(ふじかわ・ふとし)さん
1968年生まれ。家計の見直し相談センター代表取締役、ファイナンシャルプランナー。これまで2万世帯を超える家計の診断をするなど、家計見直しの第一人者。
横川楓(よこかわ・かえで」さん
1990年生まれ。経済評論家、ファイナンシャルプランナー。元地下アイドル。START!では、FPかえで先生の「知って得する お金の基礎知識」を連載中。


































































