
進化するメタバース。仮想空間がもたらす未来とは。
コロナ禍になり、オンラインでミーティングや会合をすることは、日常の光景になりました。オンライン会合やゲームで使われることがある「メタバース」。日々のニュースやメディアなどで取り上げられることもあり、見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。メタバースではどんなことができるのでしょう。
今回は、メタバースに詳しい、国内大手暗号資産取引所であるコインチェックの天羽健介常務執行役員に解説していただきました。
――メタバースとは何でしょうか? 語源や定義を教えてください。
天羽:メタバースとは、「インターネット上に構築された3次元の仮想空間」のことです。「超越」を意味するメタと「世界」を意味するユニバースを組み合わせた造語であり、1992年にアメリカで出版されたSF小説『スノウ・クラッシュ』で初めて使用されました。
ユーザーは自身の分身となる「アバター」を使用して、メタバース内を自由に散策できたり、着せ替えなどを楽しみながら他のユーザーと交流したりできます。旧Facebookが、社名をMetaに変更したのも、このメタバースが由来になっています。
――従来のゲームなどで使われた仮想空間と何が違うのでしょうか?
天羽:全体的に技術が進化している点が違うと言えますね。
過去に流行したメタバースでいうと、2003年にリンデンラボが開発した「Second Life(セカンドライフ)」というゲームが代表的です。流行の絶頂期には、月間100万人以上のアクセスがあり、メタバース内の不動産が高騰するなど、最近のメタバースブームに負けない盛り上がりがありました。
その頃から比べると、現在はデバイスがパソコンからスマホ、さらにVRやARへと移行しています。加えて通信環境も5Gから6G、7Gと発展していくでしょうし、ブロックチェーンやNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)なども台頭しています。技術や環境の進化は今後も続くと思われ、それらの合流地点がメタバースという位置づけです。
――メタバースとブロックチェーンはどんな関係にあるのでしょうか?
天羽:メタバースとブロックチェーンは別の技術・サービスですが、メタバースはBTC(ビットコイン)などの暗号資産やNFTと非常に相性が良いため、最近はブロックチェーンを活用したWeb3メタバースが増えていますね。メタバースは次世代のSNSと言われており、メタバース上のお金が暗号資産やデジタル通貨、モノやサービスがNFTになると言われています。暗号資産とNFT、どちらも裏側の技術にブロックチェーンを活用しています。
近い将来、メタバースはどれか一つが“一強”として残るのではなく、複数のメタバースが発展し、私たち(のアバター)は複数のメタバース間を行ったり来たりできるようになると予想しています。その時に、ブロックチェーンを使うことで複数のメタバースが連繫できると、異なるメタバースにモノやお金を移動できます。価値を移転できる機能をもたせるための基盤としてのブロックチェーン技術や、価値を表象するNFTは、メタバースと相性が良いと言われていますね。
――ブロックチェーンを活用したメタバースで代表的なものはありますか?
天羽:「The Sandbox」というブロックチェーンゲームが代表的なものの一つですね。
「The Sandbox」は、ピーク時には月間のアクティブユーザーが100万人を超える人気ゲームで、スクウェア・エニックス社などから201万ドル(当時の金額で約2億2千万円相当)の出資を受けるなど、日本での今後の発展も期待されているプロジェクトです。
メタバースの土地「LAND」は、NFTであり、売買もできます。コインチェックが運営するNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」でも取引が可能です。
――メタバースをビジネスで利用する企業も増えていると聞きます。企業はどのように活用しているのでしょうか?
天羽:代表的な活用法は、Meta社からリリースされた「Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルームス)」ですね。このサービスでは、CGで作成された仮想空間で会議やセミナーを開くことができます。
コインチェックの役員が参加する会議でも使用したことがあるのですが、従来のビデオ会議では実現できなかった「臨場感のあるコミュニケーション」が取れて、今後他の企業にも浸透していくのでは、と期待をしています。
――コインチェックではメタバース分野でどのようなサービスを提供していますか?
天羽:コインチェックでは、メタバース上での活動を体験する機会を提供するために、ブロックチェーン基盤で、かつNFTを採用しているメタバースのうち、代表的な三つのメタバース(※)で都市開発を行っています。※2023年1月現在
最も早くから着手しているのは、人気ゲーム「The Sandbox」で開発を進めている「Oasis TOKYO」です。商店街やスタジアム、ライブハウスや美術館などさまざまな施設を建設しており、「The Sandbox」のユーザー同士で交流できる場所を多数用意しています。
――メタバースの利用は、私たちの生活にどのような変化をもたらすでしょうか?
天羽:身近なところでは、メタバースを活用したゲームの普及ではないでしょうか。「The Sandbox」や「Decentraland(ディセントラランド)」など、有名なゲームは徐々にユーザー数を増やしています。「The Sandbox」や「Decentraland」では、メタバース上を探索したり、アバター同士が交流をしたり、「LAND」で創作活動を行うことができます。
メタバースはエンターテインメントでの活用が先行して進みそうですが、それ以外の分野でも使われていくでしょう。最終的には、現実世界と並列にある対等な生活空間として、浸透していくと考えています。




































































