
お金のプロ村上世彰さんが語る「いま伝えたいお金の話」
「物言う株主」として村上ファンドを率い、日本にコーポレートガバナンスを問うた村上世彰さん。現在はシンガポールを拠点に投資家として活動しています。そんな『お金のプロ』である村上さんが子ども向けに書いた本「いま君に伝えたいお金の話」(幻冬舎)が、8月に出版されました。お金とは何か、お金とどうつきあっていけばいいのか。村上さんに考え方を聞きました。
「昨年、『生涯投資家』(文藝春秋)という本を書いてから、子ども向けに授業をやってほしいという手紙やメールを数多くもらいました。そこで年に数回、日本に帰国するタイミングを利用して、子どもたちにお金に関する授業をしています」
村上さんは以前から寄付やボランティア活動など社会貢献活動に取り組んでいましたが、2011年の東日本大震災では震災直後に帰国し、被災地に入って炊き出しをしました。その縁もあり、昨年から宮城県南三陸町の志津川小学校でお金の授業をしています。ほかにも、東京学芸大付属国際中等教育学校(練馬区)や通信制のN高校(本部:沖縄県うるま市)など、全国の学校で授業を続けています。
「これまでにいくつかの学校でやった授業から、本当に伝えたい内容をできるだけやさしく本にまとめました。生きていくためには誰もがお金とつきあわざるを得ませんが、できるだけ早い段階からお金や家計について知って、考えられるようになってほしいとの思いを込めて書きました」
本では、そもそもお金とは何か、お金を稼ぐ方法や使い方、働くこと、そしてお金との向き合い方まで幅広く紹介されています。その中で何度も触れられているのは、『自分の頭で考える』ことです。村上さんは、「大切なのは自分なりの答えを一生懸命考えてみること、とことんまで考えることです。そうするとモノの値段や世の中の仕組みなど、さまざまなことが見えてきます。考えれば考えるほど、お金と仲良くなっていくはずです」と話します。
中学生~高校生がこの本の主なターゲットとのことですが、大人も十分に考えさせられる内容になっています。たとえば、以前から村上さんが主張するコーポレートガバナンスについてもわかりやすく触れられています。「僕がなぜ大きな企業にいろいろと意見をしているかというと、お金を貯めてほしくないからです。いまの日本でお金が貯まっているのは二カ所。老人と企業です。このお金を循環させればもっと日本はよくなると思っています。だから子どもたちには、お金を稼いで貯めて、そして回して増やす。そんなお金とのつきあい方を伝えたいです」
また、この本を書いたもう一つのきっかけとして村上さんが挙げたのは、近年急増する奨学金や教育ローンによる破産です。『お金と向き合うための覚悟 お金が凶器に変わるとき』とまるまる一章を使い、細かく書いています。村上さんには、ほとんどの子どもが親の給与やローンについて知らない、親とは話さない、そんな現状を変えたいとの強い思いがあります。「もしこの本を読んでいたら、ひょっとするとお金を借りないで大学に行かないかもしれない。あるいは短大や専門学校など違う学校に行くかもしれない。他人のお金を借りてリスクを取ることの意味をもう一度考えてほしいと思います。そもそも借りることが正解かどうか、どうやって返すのか、自分の頭で考えられるようになってほしいと思います」
村上さんは子どもたちに授業をする度に、新たな発見があると言います。「この本を読んでお金についてより興味を持ってもらい、お金は夢を実現するための道具だと多くの子どもたちに気づいてもらえればうれしいです」



































































