お金を呼ぶ教養塾

【第4回】幸せはお金で買えるのか?

経済評論家加谷 珪一

「お金で幸せは買えない」というのは、よく耳にするフレーズです。あらためて説明するまでもありませんが、お金で幸せを買うことはできません。しかしながら、お金と幸福に関する話は、お金に関する教養を高めるにはうってつけのテーマです。一度、じっくり考えてみることをお勧めします。

「所得が高い人の方が幸福感を感じやすい」は事実

多くの人に語り継がれている言葉には、それなりの理由があります。「幸せはお金では買えない」というフレーズが多用されているというのは、実は矛盾した状況といえます。なぜなら、お金で幸せを買えないことなど当たり前のことであり、そんなことをわざわざ強調する必要などないからです。

しかし、幸せはお金では買えないのだという話が、繰り返し世間で語られているということは、幸せはお金で買えると思っている人が結構、多いことの裏返しでもあるのです。

アンケート調査などを行うと、多くの国で、所得が高い人の方が幸福感を感じやすいというデータが得られます。日本人の場合には、所得が高い人と低い人とでは、幸福感を感じる割合の差が特に大きいと言われています。つまり日本人は、所得が高い方が幸福感をより感じやすい民族なのです。逆に見れば、多くの人が幸福はお金で買えると考えていることになります。

現実にお金で幸せを買うことはできないのですが、お金があると不幸を軽減することは可能かもしれません。

もし家族が大きな病気になった場合、誰もがつきっきりで看病したいと思うはずです。しかし、現実には仕事がありますから、看病のためにそれを投げ出すのは困難です。このような時、ある程度の貯えがあれば、お金のことを気にせず、家族の看病や治療に専念することができるでしょう。

嫌な仕事に従事することになったケースでも、同じことが言えるかもしれません。経済的に余裕があれば、会社から望まない仕事を強制されたとしても、いつでも辞めることができます。本当に仕事を辞めないにしても、いつでも辞められるという安心感は、精神的に大きなゆとりをもたらすでしょう。少なくとも、選択肢がないというストレスからは解放されるはずです。

※写真はイメージです。

「お金がないと幸せになれない」なんてことはない

こうした効果は、あくまでマイナスを埋めるものでしかありません。幸福感というプラスの部分については、やはりお金では得られないと考えるべきでしょう。
しかしながら、人はお金があって、好きなように消費ができれば、幸せな生活が送れるのではないかと考えがちです。その結果、消費だけが先走ってしまい、家計状況を悪化させてしまうのです。

逆説的ですが、経済的に豊かになりたいのであれば、まずはこうしたお金に対する執着を取り除くことが重要なのです。お金がないと幸せになれないという、お金に対する「呪縛」から自由になることで、はじめてお金と正面から向き合うことができるようになります。

筆者は職業柄、数多くの資産家と話をしてきました。自分自身も超リッチとまではいきませんが、ある程度の資産を保有しています。資産家のことは、よく知っているつもりです。筆者の知る資産家の多くはお金に対して淡泊で、お金の手離れがよいという特徴を持っています。これが実は、彼らの資産形成に大いに役立っているのです。

ムダな支出はお金を失う最大の要因なのですが、ムダな支出をなくしただけでは資産は増えていきません。支出の削減で浮いたお金が、ただの貯金として「死に金」になってしまっては意味がないのです。支出の削減で捻出した資金を、将来のフローを生み出すための投資に回すことが重要であり、多くの資産家はそれが出来ています。

彼らは、お金持ちになってから資産を運用するようになったわけではありません。お金がないうちから、何らかの形でまとまったお金を作り、それを事業や株式、時には自分自身に対して投資を続けてきた結果、資産家となったのです。

中国の故事成語に「隗より始めよ」というものがあります。大きなことを成し遂げるためには、まずは身近なところから始めなければダメだという意味ですが、資産形成もまさにその通りです。目の前の1万円をどう有効活用するのかというところから、すでに話は始まっていると思ってください。

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