
お金持ちほどお金を使わなくなる話のホント・ウソ
すべての人にあてはまるわけではありませんが、お金持ちになるほど、お金を使わなくても済むようになります。お金持ちの人はますますお金持ちになるともいわれますが、ムダな消費がなくなることも、こうした動きを後押ししているようです。
読者の皆さんの中には、「本当のお金持ちの人は質素な生活をしている」という話を耳にしたことがある人がいると思います。こうしたうわさは「お金持ちはそうあって欲しい」という庶民の願望を反映していることが多いので、お金持ちの人たちが必ずしも質素な生活を送っているわけではありません。しかし、お金に余裕が出てくるとムダな消費をする必要がなくなるというのは本当です。
お金に余裕があるということは、仕事や投資が順調に進んでいるということの裏返しでもあります。仕事が順調であれば、自分の裁量で仕事を進めることも可能となり、余分な付き合いを回避できるようになります。さらに投資などで大きな資金的余裕を得た人は、たとえサラリーマンであっても、会社を辞めても大丈夫だという余裕が生まれてきます。
意外なことかもしれませんが、企業のトップに昇進するような人は、ドライです。そのような人から話を聞くと、若い時には同僚や友人からの飲み会の誘いも断っていた、ゴルフは一切しない、といった話がよく出てきます。
飲み会やゴルフはあくまで社会の潤滑剤ですから、これをやらないと絶対にダメというわけではありません。仕事で大きな成果を上げることができれば、いくらでも昇進は可能なわけです。
しかし、多くの人は、僚や上司、あるいは友人からの誘いに対して「今日は予定があるので」「遠慮します」と断る勇気はそうそう持ち合わせていません。自分の評価が下がってしまったらどうしようと考えてしまうのです。
こうしたことに動じなかったからこそ、彼らは社長にまで出世できたのかもしれませんが、皆がこれをまねすることはなかなか難しいでしょう。しかし、ある程度のお金を持っていると話は変わってきます。
昇進が遅くなっても自身の生活には何の影響も及ぼさないとなれば、あっさり誘いを断ることはそれほど難しいことではありません。結果としてムダなお金を使うことが減ってくるのです。

さらにお金に余裕が出てくると、多くの人は、より便利な都市部に転居する傾向が顕著です。もちろん家賃は高くなるのですが、便利な場所に住んでいると、繁華街にはいつでも行けるという感覚になり、かえってムダな飲食費が減るというパターンが結構多いのです。
資産家というレベルになってくると、お店に行ってグルメを楽しむということすらなくなる可能性があります。自分のお気に入りの店を自分で開いてしまうからです。自分が利用していない時は、普通に営業しているわけですから、場合によってはお金がかかるどころか、お金がもうかってしまいます。
また仕事は完全に自分で選べるようになりますし、他人に対して見えを張る必要もなくなりますから、そういった面でのムダな支出も減ってきます。
もちろんお金持ちの中にも消費の楽しさがやみつきになり、お金がなくなるまで散財してしまう人がいます。しかし、お金とは皮肉なもので、お金がたくさんあって余裕のある生活ができるほど、ムダにお金を使わなくても済むような仕組みになっているのです。
お金というものが持っている、この矛盾した性質についてはよく理解しておいた方がよいでしょう。
多くの人は、お金に余裕ができれば、思う存分消費ができると考えているかもしれません。そして消費が思うようにならない現状について不満を持っていることでしょう。しかし現実にお金持ちになると、消費に走る理由がなくなってしまいます。そして、そのような状態の人ほど、さらにお金持ちになっていくのです。
冒頭に「本当のお金持ちは質素だ」という、ひとつの神話を紹介しました。しかし、この話もあながちウソではないのです。逆にいえば、お金に対してそれほど強欲ではなく、むしろ淡泊な人の方がお金持ちになりやすいのです。