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前を向くか、後ろを向くか

経済評論家加谷 珪一

後ろ向きであるよりも前向きである方が、いろいろなことがうまくいき、経済的にも得をするというのは、多くの人にとって共通認識だと思います。しかしながら、前向きに物事を捉えるというのは、とても難しいことです。自分はそれほど後ろ向きではないと思っていても、無意識的に後ろ向きになっていることが多く、これが、お金を遠ざけているのです。

ニュースに触れたとき、何を感じるか?

先日、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOがソフトバンクグループ傘下のヤフーに買収されるという大きなニュースがありました。創業者の前澤友作氏は株式を売却し、社長を退任。ZOZOはソフトバンクグループの傘下で新しい成長ステージを目指します。

このニュースに接した時、人々が関心を寄せるのは大きく分けて二つの項目です。ひとつは、ZOZOはソフトバンクの傘下でどのようなビジネスを展開するのかという将来に関するもの。もうひとつは、なぜ前澤氏は社長を退任することになったのかという過去に関するものです。

過去、どのような出来事があったのかが分からなければ、将来の予想もできませんから、現実にはどちらの情報も大事なのですが、メディアの報道を見ると、ほとんどが「なぜ前澤氏は躓(つまづ)いてしまったのか」という過去に関するものばかりとなっています。

もちろん前澤氏はカリスマ創業者ですから、突然、辞めるという決断をすれば、なぜ辞めたのかという話になるのは当然だと思います。私生活も派手なので、人々の関心を集めるのも理解できますし、日本でも有数の成功者ですから、相当な嫉妬を集めていることでしょう。「前澤商法がとうとう瓦解(がかい)した」といった批判的な記事がPV(ページビュー)を稼ぐという側面があることは否定できません。

しかしながら、日本でも有数のネット通販企業の提携というビッグニュースであるにもかかわらず、将来よりも、過去に関する話題が圧倒的に多いという現状を考えると、やはり、人々の興味関心にはかなりの偏りがあると考えた方がよさそうです。
つまり前澤氏というキャラクターに揺さぶられてしまい、前澤氏にそれほど嫉妬や反感を持っていないと自覚している人でも、やはり前澤氏のことが気になってしまい、結果として過去の記事ばかりがアクセスを集めるという事態になっているわけです。

筆者が冒頭で述べた、知らず知らずのうちに後ろ向きになっているというのは、こうした状況を指しています。

ここで、「ZOZOは今後どうなるのかについてなぜ誰も議論しないの?」と疑問に思った人は、本当の意味でマインドが前向きだと思います。一方、過去のことばかりが気になった人は、無意識的に心が後ろ向きになっている可能性があるのです。

※写真はイメージです。

感情ではなくロジックで疑問を処理する

なぜこのようなことを問題視しているのかというと、これからの時代は、望むと望まざるとにかかわらず、何らかの形で投資をしていかないと、老後の生活が成り立たなくなってくるからです。年金2000万円問題はその象徴ですが、これまで投資に無縁だった人も、株式投資などについて関心を深めていく必要があります。

筆者は20年以上、株式投資を続け、相応の資産形成に成功しましたが、投資で成功できるかは、日常的に見聞きするニュースにどう接するのかという部分に大きく左右されます。普通の人は、四六時中投資のことを考えるわけにはいきませんから、あるニュースをきっかけに、「この銘柄はどうかな?」「この業種は伸びるのでは?」といった興味関心を持ち、そこから具体的な銘柄を調べるといった行動に移っていきます。

今回のニュースをそうした視点で見た場合、社長を退任してしまった前澤氏は、投資家にとってはそれほど重要な存在ではなく、大事なのは、ヤフーとZOZO、そしてソフトバンクがこれからどうなるのかです。

ZOZOという急成長してきた企業が、ヤフーと組むというのは、それ自体が驚くべきニュースですし、何よりヤフーの背後にいるソフトバンクの孫正義社長が何を考えているのかというのは、非常に気になるところです。

日常的に前向きな思考回路が出来ていると、ニュースをただ聞き流しているだけでも、将来に対する疑問が生じ、投資についての重要なヒントを得ることができます。しかし思考回路が後ろ向きのままでは、机にかじりついてニュースを分析しないと、重要な情報を得ることはできないでしょう。これは一般の人にとって、容易なことではありません。

筆者は常々、スキルや知識と同じくらいマインドが重要であると述べているのですが、それはこうした理由からです。前向きな思考回路を身につけるためには、何かを見聞きしたら、感情はいったん、横に置き、「なぜそうなったのか」「これからどうなるのか」をセットにした上で、疑問をぶつけるクセを付けるとよいでしょう。

今回の件であれば、「なぜ前澤氏は社長を辞めたのか」と「ZOZOは今後どうなるのか」をセットにした上でニュースを見ていくのです。そうすれば、自然と前向きな発想ができるようになると思います。

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