お金を呼ぶ教養塾

富は人から奪うもの?それとも創造するもの?

経済評論家加谷 珪一

何かを達成するために誰かが犠牲になるという考え方は、実はお金の教養と密接に関係しています。

何かを達成するために誰かが犠牲になるという考え方は、実はお金の教養と密接に関係しています。

日本では、誰かが得をすると誰かが損をする、あるいは何かを達成するためには、誰かが犠牲になるという価値観はごく一般的なものです。これは個人レベルでも同じで、何かを実現するためには、何かを犠牲にしなければならないと考えている人は多いと思います。

しかし、この価値観は必ずしも普遍的なものとは言えません。経済的に豊かな国の人ほど、全員が得する方法があると考える傾向が顕著ですし、実際、経済活動が活発な国においては、全員が損をしないという解決策を模索しやすくなります。

太古の昔から商売というものは存在していますが、商売が発展して、資本主義を確立できた国はそれほど多くありません。単なる商売と資本主義の最大の違いは、富が有限か無限かという点に集約されます。

単純な商売しか存在せず、資本主義が発達していない地域では、富は有限ですから、人々はその富を奪い合うことになります。強引な手段を使ってでも、他人の富をたくさん奪った人が、お金持ちになれるという図式です。一方、高度に資本主義が発達した世界では、人から富を奪わなくても富を作り出すことができます。付加価値の高い商品やサービスを開発し、それを社会に普及させることができれば、社会全体の富が増え、誰からも富を奪うことなく、お金持ちになることができます。

この話は「富は奪い合うもの」なのか「創造するもの」なのかと言い換えることもできますが、社会の富に対して基本的にどのような価値観を持つのかによって、人の行動はまるで変わってくるのです。

富は有限で奪い合うものだと考える人は、常に誰かに富を奪われないかとビクビクしており、自分の富を守るため、弱い立場の人を虐げようとする傾向が顕著です。せっかくお金持ちになっても周囲に高圧的にしか振る舞えない人を見かけることがありますが、こうした人は、自分の富が奪われることに恐怖を感じているのです。

一方、富は自身で創造できるものだと考えている人は、それほど大きな富を持っていない段階から、余裕を持った振る舞いができます。チャンスをうまく利用できれば、富は創造できると思っているので、人から奪われる心配をする必要がありませんし、弱い人から奪う必要もありません。

経済的に成功している人のほとんどは、富は創造できるものと考えており、奪い合うものだとは考えていません。逆に言えば、経済的に豊かになりたければ、富の奪い合いという概念を捨てることが重要です。

※写真はイメージです。

考え方をちょっと変えるだけで人生は大きく変わる

富は奪い合うものではなく、自身で創造するものだという感覚が身に付いてくると、他人に対してマウンティングをする必要もなくなりますし、他人からマウンティングされたとしても、どうでもよいことに思えてきます。

マウンティングという行為は、同じコミュニティーの中で、自分が上であることを相手に示す行為ですから、ある意味で、富の奪い合いが日常茶飯事となっている狭いムラ社会でこそ通用するといってよいでしょう。

一方、富は創造するものだと思っている人にとっては、今、自分がいるコミュニティーも絶対的なものではなく、必要に応じて別のコミュニティーに移り、そこで経済活動をすればよいと考える傾向が顕著です。この感覚の違いは、自身のキャリアアップや資産形成に絶大な影響を及ぼします。

この話は実は家庭内にも当てはまります。世帯収入が少ないので、いろいろなことを我慢している人は多いと思いますが、何を我慢するのかで夫婦ゲンカになることもあるでしょう。世帯の収入には上限があり、夫婦でその富を奪い合うものだと考えてしまうと、どうしても対立的な発想になってしまいがちです。

しかし、富を創造するという概念を持っていると、これまでとはまったく違った発想が可能となります。夫の財布と妻の財布で足りなければ、夫婦共同で副業を行い、第三の財布を作って収入を増やすという選択肢が出てくるからです。現実に行動に移すのかはともかくとして、お金が足りないので、どちらがどれだけ節約するのかという話に終始している状況と比べれば、かなり選択肢が広がってくるのではないでしょうか。

筆者は実際に起業したことがあるので、実感としてよく分かるのですが、事業のように夢中になる対象があると、他の欲求が抑えられ、消費がかえって抑制されます。ちょっとした副業でよいですから、給料以外の収入源を確保することを目指すだけで、実際の収入アップと消費の抑制を同時に達成できるのです。

ビジネスの構想を練るという作業は、どんなに小さなものであっても、企業の経営戦略立案とまったく同じですから、この経験が会社員してのキャリアにプラスにならないわけがありません。お金も入って一石二鳥ですから、ぜひ富を創造するという概念を身につけ、実践してみてください。

お金を呼ぶ教養塾

お金について誰からアドバイスを受けるべきか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金で幸せは買えない?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

リスクと年齢について

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

投資で7割の人が損するって本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

副業時代到来。経済的なピンチについてどう考えるか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

目の前の1万円と、来年もらえるかもしれない10万円

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金で安心は買えるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

良い借金と悪い借金

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

コロナ後、持ち家と賃貸はどう考えればよいのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

今の金価格はバブルなのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

知識と知恵のどちらが大事?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

住宅ローンは繰り上げ返済しない方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

日本人の資産額が相対的に減っている?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

トイレットペーパーの買い占めとお金に対する感性

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

日本でタンス預金が増えている理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金と仲良くなれる「歴史」の教養とは

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「お願い力」の高い人が経済的にうまくいく理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

本当のお金持ちは、お金を持っていることを他人には見せびらかさない?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

これからはお金が要らない時代がやってくる?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

不安は「知る」ことで解消される

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

正確に間違うよりも、漠然と正しい人でありたい

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

肉食系でないと豊かになれないの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金と仲良くなるには固定観念から自由になる必要がある

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

富は人から奪うもの?それとも創造するもの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

物価の動きが分かれば、難しい理論など知らなくても経済を理解できる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

前を向くか、後ろを向くか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

子どもに対して積極的に投資教育をした方がよい?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「金」への投資にはどんな意味があるの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

人はいつ死ぬのか予想できない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

フェイスブックの仮想通貨から考える、そもそもお金って何?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

どの銘柄に投資すればよいのか分からないという悩みは実は存在しない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

今の支出を抑制すれば、自動的に老後の生活は安泰になる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

ITに詳しくなくてもIT的な考え方だけは身につけた方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

帰納法と演繹法を駆使するとお金が寄ってくる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

何でも無料で手に入る時代だからこそ、お金を持つことの意味を考えた方がよい

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金に関する正反対の話をどう捉えればよいのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

人は変われるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

女性芸能人と企業経営者の交際に対して世間が冷たい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

なぜお金持ちは「友人を選べ」と諭すのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

社会学を知れば、資産形成のヒントが得られる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

世の中に「オイシイ話」は転がっているのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

他人へのプレゼントにはお金をかけた方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

豊かになりたければ「怒り」を否定してはいけない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

会食にかかるお金についてどう考えるか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

決断が速いことはなぜ重要なのか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金のセンスをトレーニングするもっとも効率的な方法は?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金と見た目の関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

割り勘よりおごりの方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

ありがとうと言える人はお金持ちになれるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

高いモノは良いモノか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

どんぶり勘定の方がお金持ちになりやすい?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金はお金のあるところに寄ってくるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金はまとまっていると意味がある

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

自分の一生と冷静に向き合ってみよう

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金持ちになれる趣味の持ち方とは

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金は天下の回り物

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

物事の是非と損得勘定をしっかり切り分ける

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

相関関係と因果関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「そのうち」は永遠にやってこない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

率と絶対値の違いをマスターする

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「数字」はお金の教養そのもの

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

今現在、1年後、5年後、10年後を同時に考え、30年後は考えない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

金利の意味を知ればお金が寄ってくる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金持ちはお金持ちになってお金持ちになる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

時間には値札が付いており、その値段は刻々と変わる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金持ちほどお金を使わなくなる話のホント・ウソ

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

消費してよいお金とダメなお金の違い

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

学歴とお金は関係あるの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

理解と共感の違いを理解できると、自身の経済力は飛躍的に高まる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金を遠ざける思考回路、お教えします

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

経済的自由を得ることの意味

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金が貯まらないのは、承認欲求が強すぎるから

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

幸せはお金で買えるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

年収1000万円では「お金持ちの生活」を送れない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金に縁のある「教養人」は、徹底して資産額を重視する

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金に縁のある人は、常に相手の目線で物事を考える人

経済評論家加谷 珪一
  • 投資

あなたにおススメの記事

pagetop