お金を呼ぶ教養塾


お金と仲良くなれる「歴史」の教養とは

経済評論家加谷 珪一

お金と仲良くなるためには、歴史に詳しくなる必要があります。しかしながら、ここで歴史と言っているのは、794年に平安京への遷都が行われたといったような教科書に出てくるような話ではありません。お金の世界での歴史的教養というのは、10年単位で、昔がどのような時代だったのかしっかり把握できる能力のことを指しています。

人間の記憶というのはいい加減なものであり、10年以上前のことになると人は、多くの記憶をなくしてしまいます。それどころか、今の自分に都合のよいイメージをねつ造してしまうこともしばしばです。過去の経緯が分からないと、今の状況も理解できませんし、先を予測することに至ってはさらに困難です。これではビジネスや投資がうまくいかないのも当然といってよいでしょう。

この手の話は、日常生活の至る所で観察されますが、「昔はこうだった」という類いの話はその典型例です。

毎年、春になると多くの学生が新社会人として企業に入ってきますが、世の中で決まって議論されるのは「今年の新人は忍耐力がない」「すぐに辞めてしまう」という話です。

新社会人の離職率については厚生労働省が毎年調査を行っているのですが、3年以内に会社を辞めた新卒者(大卒)の割合はほぼ一貫して30%台前半となっており、ここ20年大きな変化はありません。1990年代前半に離職率が下がった時期がありましたが、それでも20%台後半ですから、大きな変化とまではいえないでしょう。1年目、2年目、3年目での離職率にも大きな違いはありませんから、新社会人の行動というのはずっと前からほとんど変わっていないと判断すべきです。

※写真はイメージです。

つまり、今、40代から50代になって中間管理職になっている人は、同期の3割が3年以内に会社を去っているはずであり、その事実を認識できないはずはありません。ところが、そうした事実はなかったこととして処理されており「最近の若いものはすぐに辞めてしまう」とぼやいています。

しかも、現在、40代から50代の世代は、新入社員当時、「何を考えているか分からない」「新人類」など、さらに上の世代から徹底的に批判されていました。当時の新聞などを見ると「絶対、上司のようにはならない」と発言しているのですが、20年以上、会社の中で過ごしていると、自分がかつて批判していた上司に見事に変貌しているのです。

筆者は、今、若者に文句を言っている中高年社員を批判したいのではありません。人は同じようなことを毎年、繰り返しているということを主張したいのです。おそらくですが、今、昭和な上司から「やる気がない」「プライベートばかり重視する」と批判されている若年層の多くが、あと20年もすると、昭和世代丸出しの上司と同じ発言をしている可能性が高いということを理解しておくべきなのです。

つまりほとんど変化がないにもかかわらず、いつの時代においても、変化が生じたと勘違いしているという話であり、考えようによってはこれほど恐ろしいことはありません。こうした誤解を前提に投資やビジネスを行っているわけですから、うまくいかないケースが多いのも当然でしょう。

この件に限らず、昔はよかったという話の大半は願望が作り出したイメージであり、その根底には将来に対する悲観的な見通しが存在していると思って差し支えありません。「最近、凶悪な犯罪が増えている」というのはよく耳にするセリフですが、これも単なるイメージであり、現実には凶悪犯罪は大幅に減少しています。

人は、将来について「良くなる」と考える人と「悪くなる」と考える人に二分できますが、将来は悪くなると考える人の方が、昔はよかったと考える傾向が顕著です。

将来は思ったほど悪くないのに、「昔はよかった」「将来は良くないことが起きる」と考えてしまうと、当然のことながら思い切った行動が取れなくなり、チャンスに巡り会う頻度も減ってきます。楽観的過ぎるのも考えものですが、こうしたネガティブな思考回路はキャリア形成にとってよい影響を与えませんし、当然のことながらお金についても同じことが言えます。

経済的に成功できた人の大半は、自分の将来に対して、ある程度、楽観視しているという特徴が見られます。過度な悲観論は、お金を遠ざけてしまうと考えた方がよいでしょう。

お金を呼ぶ教養塾

お金について誰からアドバイスを受けるべきか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金で幸せは買えない?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

リスクと年齢について

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

投資で7割の人が損するって本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

副業時代到来。経済的なピンチについてどう考えるか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

目の前の1万円と、来年もらえるかもしれない10万円

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金で安心は買えるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

良い借金と悪い借金

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

コロナ後、持ち家と賃貸はどう考えればよいのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

今の金価格はバブルなのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

知識と知恵のどちらが大事?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

住宅ローンは繰り上げ返済しない方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

日本人の資産額が相対的に減っている?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

トイレットペーパーの買い占めとお金に対する感性

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

日本でタンス預金が増えている理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金と仲良くなれる「歴史」の教養とは

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「お願い力」の高い人が経済的にうまくいく理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

本当のお金持ちは、お金を持っていることを他人には見せびらかさない?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

これからはお金が要らない時代がやってくる?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

不安は「知る」ことで解消される

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

正確に間違うよりも、漠然と正しい人でありたい

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

肉食系でないと豊かになれないの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金と仲良くなるには固定観念から自由になる必要がある

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

富は人から奪うもの?それとも創造するもの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

物価の動きが分かれば、難しい理論など知らなくても経済を理解できる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

前を向くか、後ろを向くか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

子どもに対して積極的に投資教育をした方がよい?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「金」への投資にはどんな意味があるの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

人はいつ死ぬのか予想できない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

フェイスブックの仮想通貨から考える、そもそもお金って何?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

どの銘柄に投資すればよいのか分からないという悩みは実は存在しない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

今の支出を抑制すれば、自動的に老後の生活は安泰になる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

ITに詳しくなくてもIT的な考え方だけは身につけた方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

帰納法と演繹法を駆使するとお金が寄ってくる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

何でも無料で手に入る時代だからこそ、お金を持つことの意味を考えた方がよい

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金に関する正反対の話をどう捉えればよいのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

人は変われるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

女性芸能人と企業経営者の交際に対して世間が冷たい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

なぜお金持ちは「友人を選べ」と諭すのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

社会学を知れば、資産形成のヒントが得られる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

世の中に「オイシイ話」は転がっているのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

他人へのプレゼントにはお金をかけた方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

豊かになりたければ「怒り」を否定してはいけない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

会食にかかるお金についてどう考えるか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

決断が速いことはなぜ重要なのか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金のセンスをトレーニングするもっとも効率的な方法は?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金と見た目の関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

割り勘よりおごりの方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

ありがとうと言える人はお金持ちになれるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

高いモノは良いモノか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

どんぶり勘定の方がお金持ちになりやすい?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金はお金のあるところに寄ってくるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金はまとまっていると意味がある

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

自分の一生と冷静に向き合ってみよう

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金持ちになれる趣味の持ち方とは

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金は天下の回り物

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

物事の是非と損得勘定をしっかり切り分ける

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

相関関係と因果関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「そのうち」は永遠にやってこない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

率と絶対値の違いをマスターする

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

「数字」はお金の教養そのもの

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

今現在、1年後、5年後、10年後を同時に考え、30年後は考えない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

金利の意味を知ればお金が寄ってくる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金持ちはお金持ちになってお金持ちになる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

時間には値札が付いており、その値段は刻々と変わる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金持ちほどお金を使わなくなる話のホント・ウソ

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

消費してよいお金とダメなお金の違い

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

学歴とお金は関係あるの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

理解と共感の違いを理解できると、自身の経済力は飛躍的に高まる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金を遠ざける思考回路、お教えします

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

経済的自由を得ることの意味

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金が貯まらないのは、承認欲求が強すぎるから

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

幸せはお金で買えるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

年収1000万円では「お金持ちの生活」を送れない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金に縁のある「教養人」は、徹底して資産額を重視する

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

お金に縁のある人は、常に相手の目線で物事を考える人

経済評論家加谷 珪一
  • 投資

あなたにおススメの記事

pagetop