
ありがとうと言える人はお金持ちになれるという話は本当?
心から「ありがとう」と言える人にはお金が寄ってくる。このような話をすると、何やらスピリチュアルな雰囲気になってしまいますが、そうではありません。現実問題として、「ありがとう」という言葉をたくさん使う人は、お金と仲良しです。
人というのは単にお金をもらえるから仕事をするというほどドライな存在ではありません。社会の役に立っている、人から感謝される、というプラスアルファがあって、はじめて大きなモチベーションにつながってきます。
人間がそのような動物である以上、何かをしてくれた人に対しては、たとえお金を払っていたとしても、「ありがとう」という気持ちを伝える方がよいに決まっています。結果としてビジネスにもよい影響が出てくると考えてよいでしょう。
ところが、世の中には、相手に対して感謝の気持ちを表わすことができない人が大勢います。困ったことに、人に感謝しない人ほど、自分は人から感謝して欲しいと思っていますから、この状況はなかなか改善しません。
つまり、普段の生活において人から感謝の言葉をかけられるケースは思いのほか少ないというのが現実なのです。
このため、人に対して感謝の気持ちを素直に示すことができれば、相手は非常に喜び、一生懸命仕事に取り組んでくれます。結果として仕事もうまくいくので、お金とも仲良くなれるという仕組みです。
お金持ちに関する本などを読むと、お金持ちの人は「ありがとう」という言葉を多用すると書かれています。
先ほど述べたメカニズムが作用しているなら、お金持ちの人が「ありがとう」をよく使うというのはうなずける話です。富裕層と呼ばれる人たちは、周囲からどう見られているかを常に意識していますし、自身の利益について非常に敏感ですから、意図的にこうした感謝の気持ちを伝えている人は多いはずです。
お金があると気持ちに余裕が出てきますから、多少、嫌なことがあっても笑って済ませられるという面もあるでしょう。

お金持ちの人たちはある意味で非常に狡猾(こうかつ)ですから、この話については嫌な印象を持った人がいるかもしれません。しかし、筆者はむしろポジティブに捉えた方がよいと考えています。
経済というのは不思議なもので、多くの人の気持ちが前向きになり、物事に積極的に取り組むようになると個人消費が拡大し、結果としてGDP(国内総生産)も増加してくるのです。少し難しい言葉で説明すると内需拡大ということになりますが、内需の原動力となっているのが消費者のマインドであることは明らかです。
そうだとするならば、たとえビジネスであっても、相手に感謝する気持ちを伝えることはとても大事であることがお分かりいただけると思います。相手への感謝を言葉にすれば、たとえそれが感謝の言葉を口にした人の利益につながるとしても、言われた側はやはりうれしいものです。言った側も最終的に本人の利益になるということであれば、誰も損する人はいません。
周囲を見渡すと、顧客や上司などにはやたらとおべっかを使っているにもかかわらず、お店などに入ると途端に横柄になる人が一定数存在しているはずです。このような人は、自らお金と仲良くなるチャンスを逃しているようなものです。
ここまで極端ではないにせよ、気付かずに似たような振る舞いをしているかもしれません。自分がそうなっていないか、折に触れて見つめ直した方がよいでしょう。
感謝の言葉に加えて「挨拶(あいさつ) 」にも似たような効果があります。
日本の職場では、朝、同僚に会ってもほとんど挨拶をしないという人を結構、見かけます。すべての国の状況を知っているわけではありませんが、これは国際的に見てもかなり珍しい光景なのではないかと思います。挨拶というのは、すべてのコミュニケーションのベースになるものですから、お互い挨拶を交わしていて損はありません。
積極的に挨拶し、感謝の気持ちを素直に表わすことができれば、その行動は、いつか財布の厚さという形で自分に返ってくるのです。