お金を呼ぶ教養塾

お金と仲良くなるには固定観念から自由になる必要がある

経済評論家加谷 珪一

経済的に豊かになるためには、いろいろな知識を身につける必要があります。何の知識もないまま、投資に邁進(まいしん)してもうまくいかない可能性の方が高いでしょう。しかしながら筆者は、経済的に豊かになるためには、知識と同じくらい、マインドが重要であると考えています。
人は、多くの固定観念を持っており、これが自由な経済活動を阻害し、結果的にお金を自ら遠ざけてしまいます。お金と仲良くなるためには固定観念から自由になる必要があるのです。

留学していないと外国の企業には就職できない?

近年、日本の賃金が大幅に低下していることに加え、長時間残業など、労働環境が悪いといった理由から、学校を卒業した後、日本国内ではなく、海外で仕事を見つけようとする人が増えています。筆者自身は、海外に飛び出すことを過度に推奨する立場ではありませんが、一定割合の人が海外に活路を見いだす現状はよく理解できます。

こうした人たちに対する、世間の反応は大半が後ろ向きなのですが、その多くは固定観念に起因したものです。

最初に出てくる反応は「海外で就職する人は留学などで英語を身につけた人であり、自分たちには関係ない」というものでしょう。確かに海外の企業に就職するにあたって、多少の英語力が必要なのは事実ですが、昔とは異なり、ネイティブ並みにペラペラしゃべれないといけないのかというとそうではありません。場所や業種によっては、むしろ日本国内と同様、日本語でのコミュニケーション能力が必要とされています。

近年、経済のグローバル化が進んだことで、アジア各地に日本企業が進出しています。かつて海外の駐在員といえば、商社マンなどいわゆるエリートが多かったのですが、今はあらゆる業種がアジア進出していますから、ごく普通の日本人が現地に赴任しています。これに加えて、物価の安い地域で暮らすため、定年退職者の一部もアジアに移住している状況です。

そうなると現地では、日本人向けのサービスに需要が出てきますから、タイなどでは、日本人向けのサービスが多数、立ち上がっています。顧客は日本人ですから、当然、日本語ができる人材が必要ですが、現地の人で日本語ができる人は限られています。

こうした企業では積極的に日本人の学生を採用しますから、それほど英語ができなくても、新卒でいきなりアジアの会社に就職することも珍しいことではなくなっているのです。諸外国は日本とは異なり、長時間労働ではありませんから、むしろワークライフバランスは良好かもしれません。

最終的にどこで仕事を見つけるのかは本人の価値観次第ですが、「そんなことは一部の人だけができること」という固定観念があると、仕事の選択肢を狭めてしまう可能性があるわけです。

※写真はイメージです。

本当に海外の食事はまずいのか?

次に出てくるのが「食べ物が口に合わない」という話ですが、これも大半が思い込みです。先ほど例にあげたタイでは、無数の日本人がいますから、街のあちこちに当たり前のように日本食のお店があり、食べ物にはまず困りません。また、日本とは異なりスマホでのデリバリーが発達していますから、あらゆる食事や買い物をスマホによるデリバリーで済ませることが可能です。もしかすると日本にいるよりも便利な生活を送れるかもしれません。

日本国内では、海外の食事はまずく、日本は食べ物が世界一おいしいという声をよく聞きますが、これも実は30年以上も前の昭和なイメージを引きずったものといってよいでしょう。

経済のグローバル化が進んだことで、今では世界のどこに行っても、お店を選べば、食事についてある程度の水準をキープできるようになってきました。日本国内で、外国の食事がおいしくないと言っている人の話は、実は、すしやラーメンなど純粋な日本食のことを指しているケースが多いのです。

ちょっと考えれば分かると思いますが、すしやラーメンは日本人のソウルフードです。例えばロシア人にとってロシアで食べるピロシキがおいしいのは当たり前ですし、日本で食べるピロシキの方がおいしいという方がむしろ不自然でしょう。アメリカ人にとっては、母国のハンバーガーやアップルパイがおいしいと感じるのもやはり当然のことです。
外国での食事がまずいのではなく、日本のソウルフードの味は日本国内のお店がベストという話にすぎませんから、これをもって外国の食事がおいしくないと決めつけるのは少々早計だと思います。

「日本には美しい四季があるが、外国にはない」という話もしばしば耳にしますが、言うまでもなくこの話も幻想に過ぎません。米国にも欧州にも美しい四季がありますし、紅葉スポットもありますから、日本でなければ、四季を堪能できないわけではありません。

なぜこのような話をしているのかというと、先入観による思い込みがあると、新しいチャンスを活用することが出来なくなってしまうからです。チャンスというのは誰にでも存在するものであり、大抵の場合、チャンスは目の前にひろがっています。しかし大抵の人はそれをチャンスと思わずに、見過ごしてしまうのです。

固定観念を捨て、自由に発想するクセを身につけると、変化やチャンスに敏感になり、常に時代の先を行くことができるようになりますし、こうした発想が、仕事や投資にプラスになるのは当然のことでしょう。当たり前だと思っていることに対しても、ちょっと疑ってかかるという習慣を身につけるだけで、お金を取り巻く環境は大きく変わっていくのです。

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